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「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針の フォローアップ(案)」に関する意見

平成25年3月14日

 

内閣府宇宙政策委員会

委員長 葛西 敬之 殿

 

公益社団法人日本地球惑星科学連合

大気水圏科学セクション

プレジデント 中島映至

 

 

「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針の

フォローアップ(案)」に関する意見

 

 内閣府宇宙政策委員会から平成25年1月24日付けで開示されました「平成25年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ(案)」は、我が国の地球観測の将来に関する懸念すべき重大な内容を含んでおりますので、当セクションとしての意見を表明し、その再検討をお願いするものです。

 フォローアップ案では、「B.リモートセンシング」に関し、静止気象衛星業務を「最重要項目」、環境観測衛星のうちの温室効果ガス観測技術衛星GOSAT後継機関連は「重要項目」として挙げている点は、評価されるべきであると考えます。しかし一方で、これまで長年にわたり努力が払われ、重要な成果をあげてきたその他の地球観測衛星計画について運用中のものに関しては「予算の可能な範囲内で実施すべきもの」、今後打上げるものに関しては「事業の見直しが必要なもの」とされ、その後の計画については言及がありません。このような方針は、以下に示す理由により、これまで我が国が果たして来た地球環境観測への世界的貢献と基礎科学への重要な貢献を大きく損ねる可能性が高いと考えます。

地球惑星科学連合学会が振興する重要な研究課題に、地球環境変動のモニタリングと、それに基づく変動メカニズムの解明があります。短時間のうちに全地球を詳細に観測することのできる地球観測衛星は、地球上に生起する様々な現象を監視するために不可欠のツールとして、広範な科学的研究と様々な業務に利用されており、きわめて波及効果の高い基幹技術であります。我が国はこれまで、その優れた科学・技術を基礎に世界に先駆けて地球観測衛星を打ち上げてきており、その独自データが我が国と世界に役立つ成果を生み出してきました。地球観測衛星のデータは、豪雨など極端な地球物理現象のモニタリングや精度の高い気象予測によって自然災害を軽減するなどに利用され、実社会に大きく役立てられています。また、効率のよい漁場の選択、最適航路の選択など海洋立国に必要な基礎データを提供しています。さらに、地球温暖化、生物多様性、越境大気汚染など地球環境問題が国際政治の大きな争点となっている現在、日本独自の地球観測情報を持ってそれを分析し、世界に発信していくことが、国際交渉を優位に進め国益を護持することに直結します。

地球観測衛星の開発は最先端の技術開発そのものであると同時に、その観測データが予測モデルや計算機科学と一体となって現在の日本の最先端の科学を支えています。さらに、地球観測システムは、世界のすべての構成員が広く恩恵を受けるデータを作り出すために、長い時間をかけて様々な検討と国際分担の上に築かれて来たものであり、もしこのようなシステムへの我が国の貢献が見えなくなる場合には、我が国が獲得してきた世界的な尊敬とリーダーシップを大幅に損ねるものであります。従って、真の意味での国家戦略、国益を考えた場合、本フォローアップ案の慎重なる再検討を要すると考えます。