日本学術会議からのお知らせ



 過日、会長談話において日本学術会議のあり方に関する政府方針をめぐる報道について所感をお伝えしたところですが、本日、下記の通り後藤経済財政政策担当大臣(日本学術会議担当)より、政府方針について公表されました。
 本件については、12月8日および21日に開催する日本学術会議総会において、政府より説明を受けた上で審議を行い、本会議としての考え方の取りまとめを行う予定です。皆様にもそれをお伝えいたしますが、先般の会長談話でも申し上げた通り、日本の学術のあり方に関わる重要問題であることから、各学協会におかれましても学術の健全な発展のための議論を進めていただきますようにお願いいたします。

日本学術会議会長 梶田隆章

日本学術会議の在り方についての方針


令和4年12月6日
内 閣 府

 日本学術会議の在り方については、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」(令和3年4月22日日本学術会議)、「日本学術会議の在り方に関する政策討議取りまとめ」(令和4年1月21日総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会)等を踏まえ、日本学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためにはどのような役割・機能が発揮されるべきかという観点から検討を進めてきた。

 グローバル社会が直面している地球規模の課題や新興技術と社会との関係に関する課題など、政策立案に科学的な知見を取り入れていく必要性はこれまで以上に高まってきており、政策判断を担う政府等に対して科学的知見を提供することが期待されている日本学術会議には、政府等と問題意識や時間軸等を共有しつつ、中長期的・俯瞰的分野横断的な課題に関する質の高い科学的助言を適時適切に発出することが求められている。
また、世界が直面する重要課題等に政府等と日本学術会議が連携を深めながら取り組んでいくことが、「科学技術立国」の実現や我が国の国際社会におけるプレゼンスの向上等のためには不可欠である。

 このため、政府としても、政府等と問題意識や時間軸等を共有しつつ、中長期的・俯瞰的分野横断的な課題に関する時宜を得た質の高い科学的助言を行う機能等を抜本的に強化することとし、活動や運営の徹底した透明化・ガバナンス機能の迅速かつ徹底的な強化を図るため、国の機関として存置した上で、必要な措置を講じ、改革を加速するべきという結論に達した。

 今後、本方針に基づき、下記の点を中心に日本学術会議の意見も聴きつつ、法制化に向けて具体的措置の検討、所要の作業等を進め、日本学術会議会員の任期も踏まえ、できるだけ早期に関連法案の国会提出を目指す。

 学術及び科学技術力は我が国の国力の源泉であり、その世界最高水準への向上は、国民の幸福、国家及び人類の発展のためにも不可欠な基盤として、政府及び日本学術会議が協働して実現を果たしていくことが必要である。

 日本学術会議においても、新たな組織に生まれかわる覚悟で抜本的な改革を断行することが必要である。


                          記

【科学的助言等】
1 政府等と問題意識や時間軸等を共有しつつ、中長期的・俯瞰的分野横断的な活動を適切に推進するとともに、国民
 からの理解と支持の獲得や社会との対話の促進に資するため、「期」を超えた基本的な活動方針を策定すべきことと
 する。重点的に取り組む事項に加え、会員等に求める資質等も明らかにする。併せて、政府等と日本学術会議との連
 携の強化・促進に必要な取組等の強化を図る。

2 科学的助言については、科学的助言等対応委員会等の機能を強化し、位置づけを明確化する。すべての学問分野に
 開かれた日本学術会議の特徴をいかしつつ、政府等との問題意識・時間軸等の共有、レビュー、適時適切な情報発
 信、フォローアップ等が、高い透明性・客観性の下で適切かつ確実に行われるよう措置する。

3 委員会・分科会等の在り方についての見直しを進め、多様な視点や俯瞰的な視野の確保、横断的な連携の促進を図
 るとともに、重複の有無や機能的な運用にも留意しつつ、設置基準及び合理的な目安等を設定・公開する。

【会員等の選考・任命】
4 新たな学問分野・融合分野からの積極的な登用、分野・活動領域・年齢等のバランスの確保等に努めるとともに、
 会員等には、個別分野の深い学識に加え、国際的な業績・評価、分野横断的な見識、異分野間の対話能力等が求めら
 れていることも明らかにする必要がある。日本学術会議においては、これらも踏まえ、選考に関する方針を策定す
 る。

5 会員等以外による推薦などの第三者の参画など、高い透明性の下で厳格な選考プロセスが運用されるよう改革を進
 めるとともに、国の機関であることも踏まえ、選考・推薦及び内閣総理大臣による任命が適正かつ円滑に行われるよ
 う必要な措置を講じる。

【活動の評価・検証等】
6 日本学術会議は独立して職務を行うことから、他の行政機関以上の徹底した透明性が求められる。外部評価対応委
 員会の機能を強化し、構成及び権限、主要な評価プロセスを明確化すること等により、活動及び運営についての評
 価・検証が透明かつ厳格に行われることを担保する。

【財政基盤の充実】
7 活動及び運営、支出などについて不断の見直しを行うことを前提に、日本学術会議に関する経費は、引き続き国庫
 の負担とする。政府等と日本学術会議の連携の強化・促進に必要な取組等が現状のリソースで十分に行えないのであ
 れば、所要の追加的措置を検討する。

【改革のフォローアップ】
8 関連法の施行後3年及び6年を目途として、本方針に基づく日本学術会議の改革の進捗状況、活動や運営の状況等を
 勘案しつつ、より良い機能発揮のための設置形態及び組織体制の在り方等について検討を加え、必要があると認めら
 れるときは、国とは別の法人格を有する独立した組織とすることも含め、最適の設置形態となるよう所要の措置を講
 ずる。その際、会長・会員等の位置づけ、会員数、会員・連携会員の種別、任期等についても、検討することとす
 る。
 また、国とは別の法人格を有する独立した組織とする場合には、財政基盤の在り方等についても併せて検討し、新組
 織が必要な活動を行いうるよう配慮するものとする。