JpGUフェロー

花輪 公雄 (Kimio Hanawa) 先生

・受賞理由/Commendation

海洋科学,特に大気海洋相互作用の実態解明における顕著な功績,および日本地球惑星科学連合発展への多大な貢献をした功績により

for outstanding contributions to oceanography, in particular to the understanding of the mutual interaction of the atmosphere and oceans; and numerous contributions to the development of the Japan Geoscience Union.

・経歴

昭和56年4月東北大学理学部助手
昭和60年3月東北大学理学部講師
昭和62年11月理学博士学位取得(東北大学)
昭和62年12月東北大学理学部助教授
平成6年4月東北大学理学部教授
平成7年4月東北大学大学院理学研究科教授
平成19年4月日本海洋学会副会長(平成23年3月まで)
平成23年4月日本海洋学会会長(平成25年3月まで)
平成24年4月東北大学理事(教育・学生支援・教育国際交流担当)

・主要論文

  1. Hanawa, K., and H. Mitsudera, 1987: Variations of water system distribution in the Sanriku Coastal Area. Journal of the Oceanographical Society of Japan, 42, 435–446.
  2. Hanawa, K., 1987: Interannual variations in the wintertime outcrop area of Subtropical Mode Water in the North Pacific. ATMOSPHERE-OCEAN, 25, 358–374.
  3. Hanawa, K., T. Watanabe, N. Iwasaka, T. Suga, and Y. Toba, 1988: Surface thermal conditions in the western North Pacific during the ENSO events. Journal of the Meteorological Society of Japan, 66, 445–456.
  4. Hanawa, K., P. Rual, R. Bailey, A. Sy, and M. Szabados, 1995: A new depth-time equation for Sippican or TSK T-7, T-6 and T-4 expendable bathythermographs (XBT). Deep-Sea Research, 42, 1423–1451.
  5. Hanawa, K., and J. Kamada, 2001: Variability of core layer temperature (CLT) of North Pacific subtropical mode water. Geophysical Research Letters, 28, 2229–2232.

・主な業績 Major achievements (in Japanese)

花輪公雄氏は,気候変動に果たす海洋の役割の解明を主題として,観測資料をもとに多くの先駆的研究を行ってこられた.エルニーニョ時に北緯30度を軸にアジア大陸から東経170度までの広範囲にわたり海面水温が上昇することを発見された.また,日本南方に分布する亜熱帯モード水(水深100mから300mにかけて存在する約18℃の水塊)に注目し,これが冬季北西季節風により形成されることを指摘して,季節進行に伴い海洋亜熱帯循環内の広範囲にわたり分布することを見出された.さらに,船舶観測資料によって過去40年にわたる亜熱帯モード水水温の時系列を作成し,エルニーニョ現象に応答する経年(3.4年)周期に加え,長周期変動(約20年)の存在を発見された.また,約100年にわたる長期の海面水温資料を解析することで,気候のレジームシフトが起こった年を同定し,急遷移の要因としてエルニーニョ現象の影響を指摘された.

推薦者/Nominator

江淵直人