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日本学術会議地球惑星科学委員会企画分科会声明 東日本大震災 −我々は今、何をすべきか−

東日本大震災
−我々は今、何をすべきか−

平成23年3月31日

日本学術会議地球惑星科学委員会企画分科会

 平成23年3月11日14時46分に宮城県沖を震源とするマグニチュード9(M9)の巨大地震が発生、沿岸には10mを超える津波が襲来し、多くの地域が壊滅的な被害を受けた。
 今回の津波の威力はすさまじく、宮古市では日本最大規模の防潮堤があえなく破壊され、宮城県から福島県の海岸線では、地盤の沈降と津波の侵入によって平野部が広く冠水した。東京電力福島原子力発電所もまた津波により甚大な被害を被り、原子炉を支える種々の施設が破壊され、現在、その復旧に瀬戸際の努力がなされている。
 この未曾有の災害に際して、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災され苦難の日々を送られている方々の一刻も早い平常生活への復帰、そして故郷の復旧、復興を願うものであります。

 東日本大震災における地震・津波は貞観地震・津波(西暦869年)と類似していると指摘されている。しかし、地球惑星科学において、今回のような日本海溝のプレート境界域における連動型超巨大地震の可能性について、十分な検討がなされてきたとは言えない。このことは今後、しっかりと検証すべきことと考える。それに加え、我々は次のことに直ちに取り組むべきである。

(1) 阪神淡路大震災の後、陸域での観測網は整備されたが、海域の地震津波への備えは十分ではなかった。さらにあの巨大津波の大被害を記録したスマトラ地震以降も、総合的な津波観測警報ネットワークの構築は迅速には進まなかった。今回の被害の大部分が、まさに巨大津波によるものであることを考えると、人命を守る最前線としての津波観測警報ネットワークの構築を早急に行うべきである。また埋立地や海岸低地にある諸施設や土地利用の被害が甚大であることを踏まえ、その被害の実態調査と、全国の沿岸域の土地利用の脆弱性についての調査を、早急に行うべきである。

(2) 付随して発生した原子力発電所事故は、深刻な環境汚染と地域社会への災厄を引きこしている。その影響評価と地域再生のための科学的調査を実施し、またこのような事態に迅速、適切に対応できる枠組みを早急に作るべきである。この問題は、地球惑星科学分野のみならず、原子力工学や医学分野、さらには社会経済分野等広く及ぶので、日本学術会議をはじめとした広い英知の結集が必要である。

(3) プレート境界が複雑に入り組んだ災害列島日本に、国民の安全と安心を確保しつつどのような国土と社会を形成してゆくかの中・長期的ビジョンを、政治、経済、科学・技術などの協働により描くべきである。そのための日本学術会議や研究者コミュニティーの役割は大きい。

(4) 津波や地震の特性を学習していた子供達が、想定を超える巨大津波においてさえ、機敏な避難行動により命を救われたという、釜石市の津波防災教育の事例がある。地球の自然現象を理解し、自然と人間活動との関わりを科学的に学習する「地球とともに生きる素養を身につける」教育を推進する必要がある。

 我々は、以上のような点について、早急に検討を開始するとともに、緊急にこの国を災害から守るための具体的な対策を提案すべきである。さらにこの歴史的な地震・津波災害の実態解明のための研究とそれによって知り得た知識の社会還元を早急に行うべきである。その成果こそが、後世に残すべき遺産であり、これからの国造りの礎となるであろう。

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