鈴木 建(Takeru Suzuki)
・受賞理由/Commendation
太陽コロナ加熱および太陽風加速の理論モデル構築とシミュレーションによる研究
Theory and simulations of coronal heating and solar wind acceleration
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
長年メカニズムが判らなかった太陽コロナ加熱・太陽風加速を説明する理論モデルを提唱し、コロナ加熱・太陽風加速が、表面対流層による磁束管足下の擾乱の自然の帰結であることを磁気流体力学シミュレーションで示した。そこでは、太陽表面における対流運動を起源として発生したアルフヴェン波の非線形散逸を取り扱っているが、そのために十数桁におよぶ密度勾配を持つ系における波動伝搬を解くことができる高精度衝撃波捕獲磁気流体数値計算コードを独創的に開発した。これにより磁気流体波動の伝搬・反射・減衰・加熱を首尾一貫した方法で扱うことが初めて可能となった。現在の太陽コロナ・太陽風に対する結果を原始星段階の太陽風や降着円盤風にも拡張しているが、これらの結果は太陽系進化の解明にも寄与しうるなど波及効果も大きい。鈴木氏は、これら新しい発想による優れた研究成果を多くの学術論文として発表しており、きわめて高い国際的評価を受けている。
・推薦者/Nominator
自薦