この度は私の取り組んできた大気と海洋間の化学という境界分野での研究について、顕著な功績を上げたと認めていただき、2020年度の名誉あるフェローとして処遇されたことに大きな喜びと感謝の意を表したいと思います。改めて推薦、そして選考していただいた皆様にお礼を申し上げます。この功績は大学院時代の指導教員であった故角皆静男北大名誉教授、元米国ロードアイランド大学のBob Duce教授をはじめ、多くの先輩、同僚、後輩、そして教え子達、皆様のお陰です。ありがとうございました。大気や海洋の観測を中心とした研究は一つの研究室、一つの研究機関、一つの国、一つの大洋には収まらず、すべての海洋を国際的な連携で進めなければいけません。―One Planet, One Ocean̶ 世界をつなぐ海には国境はありません。これからは、Earth Scienceを学会関係の研究者だけでなく、地方自治体も含めた政策決定者、民間企業、NPO、市民が一緒になってグローバルに考え、ローカルに行動すること、Think Globally, Act Locallyを目指して、人材育成を念頭に微力ながら貢献していきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

連合フェローの受賞は大変光栄です。私の主な研究は南極と北極域とのオーロラ比較です。オーロラの研究に進んだ経緯を振り返りますと、小学生の時に、南極でタロー・ジローが生きていたビックニュースです。その後、大学生の時に、地球周辺で起こっている自然現象を研究したいと思うようになりました。なかでもオーロラに興味を惹かれました。オーロラを自分の目で観測をするには、南極観測隊に参加する道があることを知り、実現するために初代南極観測隊長を務めた永田武先生の大学院に進学しました。そして、博士課程の時に越冬隊に参加できました。これが縁で国立極地研究所に職を得ました。極地研究所で最初に携わったのがアイスランドにおける昭和基地との共役点観測でした。その次が、SuperDARNと呼ばれる、大型短波レーダーを南北両半球に多数配置しグローバルな磁気圏対流などを観測する国際プロジェクトでした。おわりに、これまで多くの人との出会いに恵まれたことを感謝しております。そして、JpGUが益々発展することを願っております。

栄誉あるJpGUフェローに選出していただき，大変光栄です．この栄誉をこれまでの共同研究者の皆さまたちと分かち合いたいのですが，コロナ禍でままなりません．宇宙には不思議なことがたくさんあり，その解明に挑んできました．いくつかは不思議ではなくなりましたが，それでもその現象や現場が腑に落ちず気になることがままあります．もうしばらくお騒がせしてしまうかもしれませんが，よろしくお付き合いください．

この度はJpGUのフェローに選出していただき、大変名誉なことと思っております。どうもありがとうございました。推薦者の辻森樹先生をはじめ、サポートしてくださいました3名の方々に心から感謝いたします。私のJpGUとの関わりは1990年の金沢で行われたWPGMに始まります。私はこの時期から、JpGUの進化と成長にご協力することをライフワークの一つにしてまいりました。近年の目覚ましい発展を遂げているJpGUの様子を非常に頼もしく思っております。しかし、今コロナによって、これまでの大規模学会の在り方が大きく変貌しようとしています。これは、JpGUにとっても深刻な事態ですが、これは新たなチャンスでもあります。JpGUは日本の地球惑星科学分野の唯一無二の大切な連合体です。これを発展させることは、日本と世界の地球惑星科学への大きな貢献になりますし、成熟した国としての日本の責任でもあります。このコロナ事態を乗り越えて、JpGUがさらに大きく発展しますように、私も微力ですが、これからも、さらにできるだけのお手伝いをしてゆきたいと思っています。

このたびは、大変名誉あるフェローに選んでいただきまして、ありがとうございます。推薦者の横山央明さんとフェロー審査委員会の皆様方に、心より感謝申し上げます。私は40数年ほど前から、フレアやジェットなどの太陽や恒星・銀河における爆発現象の研究をしていた関係で、天文学会が活動の主要な舞台でしたが、太陽フレアの研究の過程で、フレアは地球に大きな影響を及ぼしていることを知りました。20数年前、連合フェローの一人でもある上出洋介先生から、太陽物理学者は太陽の影響を受けている地球にも興味を持つべきだ、と強く言われたことを覚えています。その後、現代社会のインフラを守り安全な宇宙開発を進めるには、宇宙天気予報が緊急の課題であり、その実現には太陽と地球の研究者間の協力が不可欠であることを理解しました。地球惑星連合大会はそのような学際的な宇宙天気研究を議論し推進する場としては最適な場所で、大いに活用させていただきました。その連合から、こういう異分野交流推進の努力も評価いただき、本日は深く感動しております。　

この度は2021年度JpGUフェローに選んでいただき、大変光栄に存じます。選考委員会の方々、推薦していただいた方々に、また恩師である東北大学の砂川一郎先生・北村雅夫先生、東京大学の久城先生はじめ、多くの先生に感謝いたしたいと思います。さらに小学生の頃、鉱物少年となるきっかけを下さった益富地学会館の益富壽之助先生にもお礼を申し上げます。学生さんも含めて様々な方々と共同で、時に助けていただき、また刺激を受けて、研究を進めることができました。とくに”研究とは何か”を教えて下さった、中国科学院広州地球化学研究所の、そして現在僕の同僚でもある高橋栄一先生のお名前を挙げると共に、皆さまに感謝の意を表します。私は、2019年3月に京都大学理学研究科を定年退職し、現在は立命館大学と広州地球化学研究所にお世話になっています。はやぶさ２サンプル分析にも携わる予定で、最終講義では「こんなおもろいことやめられない！」と話しました。最後に”こんなおもろいこと”をさせてくれた家族にも感謝したいと思います。

この度はJpGUフェローという名誉ある称号を頂戴いたしまして身に余る光栄でございます。私はこれまで、C60などの炭素クラスレートやメタンや水素を内包する氷のクラスレートの高圧物性研究を実験的な手法を用いて行ってきました。元素の存在度からすると、水素、氷、メタンは宇宙に最も多く存在する物質で、これらからなるメタンハイドレートや水素ハイドレートは太陽系の氷惑星衛星の構成成分としてだけでなく、宇宙には多量に存在していると考えられています。宇宙には超高真空から超高圧の世界、また超低温から超高温まで実に広い温度圧力条件があり、そこには星間雲やプロトスター、氷衛星、氷惑星、そして、相次いで発見されている系外惑星が存在しています。それらの中で氷やハイドレートは多様な構造進化を遂げ、従来の知見を超える物性を現わしていると予測されます。氷やハイドレートはまさにmysterious icesです。新しい発見と驚きに満ちています。これから若い研究者がこの驚きの世界をさらに開拓していかれることを希望いたします。

　私達は，星間分子や氷の生成機構を室内模擬実験で調べてきました．模擬実験は「その条件で実験すればそうなるね．それが本当に宇宙に適用できるの？」と評価されることが多々ありました．このような批判に応えるために，反応速度定数等の定量的データを測定することを常々心がけてきました．これまで錚々たる先生が受賞されてきた三宅賞を，模擬実験の分野に与えて下さったことが何より嬉しく，推薦して下さった東京大学の橘省吾教授並びに審査員各位に心より感謝申し上げます．一緒に実験を行なってきた同僚ともこの受賞を分かち合いたいと思います．　星間分子雲では，星間分子を作る活性化エネルギーの大きな反応は極低温のため起こらないと考えられてきました．私達は，水素原子の関与する量子トンネル反応によって，10Kにも関わらず，反応が効率的に進むことを初めて示しました．現在，研究は新たな展開に入り，透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡により，反応の場である非晶質氷の表面を見ることができるようになりました．今後の発展にもご期待下さい．

主に海洋における環境同位体研究の世界的権威である故三宅泰雄先生のお名前を冠した本賞は大変な名誉で、謹んでお受けいたします。私はこれまで一分子種を構成する多数の同位体分子の自然存在度を計測する方法を開発し、その分子の起源を推定することで、地球環境、地球と生命の起源と進化の理解を深めてきました。温暖化ガスは約10種、C2のエタノールは約300種、C8のバニリンで100万種の同位体分子が存在するので、未だに広大なフロンティアの入口に立ったにすぎません。地球惑星科学が対象とする時空間では、発見が数多くあり、研究することが増える一方です。ご評価いただいた方向性の研究を次世代の方々とともに、より推進したいと気持ちを新たにしています。もちろん、与えられましたこの大きな栄誉は私一人のみのものではありません。これまで支えてくださいました恩師、諸先輩、研究室の歴代スタッフ、約200名の学生の皆さん、国内外の多数の共同研究者、そしてJpGUを含む学会、連合の皆様のご支援があればこそです。ここに記しまして感謝申し上げます。

この度は、名誉ある西田賞を頂き、大変光栄に思います。長年海外で暮らしてきた身としては、生まれ育った日本の地球惑星科学連合に研究を認めて頂けて感慨深いものがあります。これまでの研究で特に力を入れた点や苦労した点などの話を、との事でしたので考えてみたのですが、思いつきませんでした。研究に対しては特に力を入れるような事は無く、面白そうだと思った事にひたすら取り組んでいます。研究での苦労と言うと結果がなかなか出なかった事などがあるようですが、私の研究は基本結果が出るか判らないものが多いので、結果が出て驚く方が多い気がします。受賞対象の中に新しい地震解析法がありますが、その当時Peter Shearer先生と「多分上手くいかないよね」と言いながら半ば興味本位で取り組んでいた事を思い出しました。自由に好きな事を探求できる環境を整えて頂いてきた先生方、大学や研究機関、そして家族には感謝の気持ちでいっぱいです。今回の受賞を励みに今後も研究に勤しみ、地球物理学者としての見識を深めていきたいと思います。

地球内部の物質科学は相平衡論に基づいて飛躍的に進歩してきました．一方で，流体が関与すると，岩石の反応は劇的に加速され，地震や鉱床・地熱資源形成など社会に大きな影響を与える短期間な地殻現象をひき起こします．私は，これまでに沈み込み帯の変成作用，海洋底の蛇紋岩化作用，地熱地帯の鉱物脈形成などの岩石―流体反応プロセスについて，実験，天然試料の解析，組織形成シミュレーションによる研究を進めてきました．人工石英脈作成、超臨界流体フラッシングによるナノシリカ粒子生成，マントル−地殻境界の反応帯形成などの少し変わった実験にチャレンジしたり、反応―破壊―流体流動の連結させる新しい数値モデルの開発する中で，流体を介した岩石の反応は特徴的な空間構造を生み出すことに常に驚きを感じてきました。手にする変成岩や変質岩の「何か気になる」組織には、おそらく平衡論では説明できない反応プロセスが隠されています．その特徴量を抽出し，ダイナミックな地殻現象を結びつける新しい地球反応科学を構築していきたいと考えています。

私は古海洋をメインに研究していますが，例えば過去のCO2濃度が高い時代の研究や，実際の海洋でコントロールすることが難しい海水pHを変化させた飼育実験を通じて，今後の私達が向かう海洋環境に応用することが可能です．私は炭酸塩殻を持つ単細胞の有孔虫を用いた研究をしていますが，海外での浮遊性有孔虫の飼育実験では，獰猛なサメがいる外洋でダイビングをしながら肉眼で数ミリの個体を捕まえる微笑ましい内容で，サメ映画は未だに観る気がしません．話は変わりますが，女性研究者に取り出産は大きな問題です．私も大変悩みましたが，パーマネント就職してからと思っても人生がこの先どうなるか誰にもわかりません．いざそのタイミングが来たとしても，すぐに授かるとは限らないとの助言も頂きました．プライベートな話は避けたいのが本音ですが，色々な方に相談してサンプル数，nを増やしたほうが安全側です．そして皆で楽しく研究できたら嬉しいです．最後に西田先生とお世話になった先生方，研究室の皆様に御礼申し上げます．ありがとうございました．

このたびは、栄誉ある西田賞を賜り、大変光栄に存じます。私は、気候システムに内在する自然変動に着目し、特に「テレコネクション」をキーワードに研究を行って参りました。我が国を含む東アジアに夏の異常気象をもたらすテレコネクションパターンの研究においては、大気の内部や、大気と海洋との間で働く様々なフィードバックプロセスに着目し、大気循環変動の形成メカニズムや予測可能性の研究を進めてきました。またテレコネクション研究を全球に拡張し、自然変動による地球温暖化の変調メカニズムに関する研究も行ってきました。当初は観測データや公開されているモデルシミュレーションデータの統計解析を中心に研究を行っていましたが、過去10年余りは自身で数値シミュレーションを行う研究にも取り組んでいます。私自身はモデル開発者ではないのですが、モデルの使い方を工夫し、その結果を用いて新たな視点から気候変動現象の理解に取り組んで参りました。国内外の共同研究者に加え、この研究を可能にしてくださったモデル開発者の皆様に感謝申し上げます。

この度は西田賞という栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。受賞に際し評価頂いた研究を振り返りますと、スーパーコンピュータを存分に使ったゴリゴリの数値計算から、大規模な探査計画に参加しての衛星観測、実験や理論を融合させた学際的なものなど様々で、我ながら結構色々なことをやってきたものだと感慨深いです。得られた結果を見渡すと地球、月、惑星と色んな天体を行ったり来たりしてまとまりがないようにも思えますが、自分としては一つのテーマに集中し、その道を究めるというつもりで研究をしてきました。こうした一見無関係と思われる結果を繋げるキーワードが「深部ダイナミクス」です。各天体の固有磁場とそれらを生み出すダイナモの理解を通じて、深部ダイナミクスの普遍性と天体毎の特殊性を明らかにすべく研究を進めてきました。未だ道半ばであり、今後も様々な天体を対象にした研究をどんどんしていきたいと決意を新たにする次第です。こうした一見発散的な内容の研究が将来どのように収斂していくのか、私自身大変楽しみにしております。

この度は西田賞をいただき、大変うれしく思っております。推薦していただいた先生方、お世話になった方々に感謝申し上げます。これまでの研究で力を入れた点や苦労した点について申し上げますと、研究を行う上では対象を大きく広げずに絞って、その代わりに深く理解しようとした点です。博士論文の研究対象であった鉱物については、その後も研究を続け、様々な観点から５本も論文を書きました。博士研究員時代は、子育てで多くの時間を取られ、研究に費やす時間が限られていた状況でしたので、多くの人が取り組む研究テーマでは競争には勝てません。研究のオリジナリティーを追求しました。さらに最も重要なのは、素晴らしい共同研究者と研究を行うことができた点です。私のような理論計算の研究は一人で完結させることも可能ですが、そこを実験分野や理論計算の共同研究者と知恵を絞り、期待通りの、または予想を裏切るような新たな発見を共有できたことは楽しく大変やりがいがありました。今後も皆さんと研究を行い、新たな成果を生み出したいと思います。

この度は第4回西田賞を授与していただき、誠にありがとうございます。太陽系外には、太陽系の惑星とは全く異なる多様な惑星があることがわかっています。私が目指してきたのは、この多様な惑星がどのようにしてでき、どんな性質を持っているのかを、観測によって明らかにすることです。そのために、私はトランジット惑星の発見や、軌道・大気といった性質を調べる観測的研究に取り組んできました。さらに、トランジットをよりたくさん、高精度に観測するため、多色同時撮像カメラを3台開発し、世界に配置するという開発的研究も行ってきました。私が行ってきたこうした一連の研究を評価していただけたことを嬉しく思います。現在、系外惑星の研究では、太陽系近傍の恒星を公転する惑星の発見が盛んに行われています。これからは発見された惑星の性質を明らかにする研究がより盛んになると期待されます。これからの研究の主役になるのは今大学院生や若手の人たちになると思いますが、私自身も日本の系外惑星研究がますます発展するよう貢献していきたいと思います。

質の高い観測データは、あいまいな仮説を実証し未知現象を発見するのに必要不可欠です。大学院から研究を始めて以来、時間の9割を、観測をするための技術開発や改良と、それに必要な基礎勉強に費やしてきました。その結果、気候に関わるエアロゾル物質の、空間分布の理解や普遍的な素過程について、いくつかの新発見に貢献できたと考えています。測定技術にこだわった研究の副産物として、光の干渉を使って粒子のサイズと屈折率を同時に測ることができる、今後、地球環境科学だけでなくその他多くの分野に応用できる粒子分析法を一つ提案することができました。基礎理論の習得とそれに基づいて装置や解析プログラムが機能するように一つづつ検証していく日々の手作業は、未知のことの調査に向かって着実に進んでいるという高揚感を与えてくれました。私とこれまでの共同研究者を評価していただいた今回の受賞は大変うれしく思います。毎日サポートしてくれた妻と3人の子供に感謝いたします。

このたびは、名誉ある賞を頂戴し、身に余る光栄です。今回、授賞理由となったのは、海洋研究とは縁遠かった私が、有難いご縁を頂きJAMSTECで取り組むことになった海底下生命に関する研究です。様々な手探りをしながら上司と共に私が打ち込んだのは、「客観的に信頼できる結果を得る方法を作って研究を進める」ことでした。言葉としては当たり前のことなのですが、キット化が進み、確立されたプロトコルが溢れる生命系科学では、試料や含まれる物質によっては想定通りに事が進まず、期待とは異なる結果が出ることがあります。素通りしてしまいがちですが、研究内容が大きく変わって正解不正解が良くわかっていなかった私は幸運なことにその危うさに気づくことが出来ました。この経験を基に注意深く検証を行いながら研究を進め、世界的に認められる様々な研究成果へ結びつきました。これらの成果は、日頃から切磋琢磨している同僚、共同研究者の皆さま、研究の支援をしてくださっている方々と一緒だったからこそ達成できたものです。心から感謝したいと思います。

この度は、栄誉ある賞を頂き誠にありがとうございます。受賞対象となった研究は、主に数値シミュレーションを用いた電離圏の研究になります。地球物理学分野では各種観測技術が発達しており、研究の流れとしては、1.観測による発見、2.理論による予測、3.数値シミュレーションによる検証、というスタイルが一般的かと思います。複雑な現象ほど、より多くのパラメータに依存しており、再現が難しいと思われがちです。ところが、検証のための最低限のパラメータによるシミュレーションから、期待を上回る計算結果が得られることがあります。このような場合は、1.数値シミュレーションによる発見、2.理論による予測、3.観測による検証、のように研究の流れを逆転させることができます。これがシミュレーション研究の醍醐味だと思います。これからも、現象の解明と発見の両方につながるような研究を進めていきたいと考えております。

　JpGU大会が前身の合同大会から数えて昨年３０周年を迎えられたことを、お祝い申し上げます。合同大会の立ち上げは、当時、AGUやIUGGへの出席者が増え、専門分野を横断する学会を望む気運が盛り上がってきたと思います。合同大会実現のために多数の方が活動され、比較的短時間で実現されたと記憶しています。最初の大会は共立女子大で開催可能となり、合同大会の実現を早めたこともあります。同大の地球物理研究者の杉憲子先生のご尽力によるものでした。その後は、各大学が持ち回りで大会を引き受けることになり、翌年私が所属していた京大で開催されました。実に多くの職員と学生が準備と大会運営に当たったのを覚えています。　その後、私は、大会参加者としてのみの参加ですが、東北沖地震後の特別セッションでは、広い分野での総合討論が行われたことが印象的でした。感心したことは、参加者の子供さんを預かる「保育所」の立ち上げです。先進的な試みであると同時に、大会の規模が大きくなったからこそ可能になったのでしょう。また、最近は、フェロー制度や種々の賞の立ち上げが目立ちますが、若い研究者を対象としたものに集中して戴ければと思います。今後の希望としては、そろそろ女性に会長になっていただきたい。

　日本地球惑星科学連合30周年おめでとうございます。感謝状を頂きまして誠に有難うございます。私は、1991年4月の共立女子大学八王子校舎における第2回合同大会の実行委員長を務めました。第1回大会の成功を受けて、合同大会が発展的に続くために2回目の責任は重大でしたが、独自の大会を重視する学会も多かったので、バランス感覚を心掛けて最大公約数の少し先を狙いました。共立女子大のスタッフは杉憲子さんお一人で、私は在つくばという困難な条件でしたが、大学当局のご協力と、地震・地球電磁気・火山・測地・地球化学5学会の担当者および横浜市大・学芸大・日大の学生さんの頑張りで、よい大会にできたと思います。当時は学会間の横断的仕組みが皆無でしたので、5学会の委員に図って90年7月に「地球惑星科学関連学会連絡会」を発足させました。そして8学会に手紙を書き、海洋・気象・地質などの５学会にも参加いただくことができました。隔世の感がありますが、今につながるささやかな第一歩でした。JpGUの一層の発展を祈ってやみません。

私の経歴表からは、１９９０年から十数年の間に地球惑星科学連合と関係が深い活動がいくつか見つかる。大会関係では９０年と９８年に合同大会委員長を務めた。９０年は第１回の大会で東工大が主催した。９８年の第９回は東大が担当したが、規模が大きくなったために、代々木のオリンピックセンターという大学以外の施設での初の開催となった。この時は、寺澤・岩上・中村という強力なチームの働きで、大会運営のひな型を作り上げることができた。これは合同大会運営機構ができて、大学主催でなくなった２００１年以降の大会にも影響を残している。例えば毎日のプロクラムを、大きな用紙に時間と会場を縦横にとって見開きで印刷するやり方は、寺沢さんの発案によるものでそれ以来ずっと変わっていない。
その後、０３年にIUGGの総会が札幌で開かれ時には私はIUGG会長だったし、０５年からは日本学術会議会員を３年間務めた。これらの組織に適切に対応するためには、関連する多数の学会が強い協力関係を持つことが必要不可欠であり、この時期に連合の組織化が急速に進んだことは疑いない。
私自身は連合の発展を図るための活動を主体的にやったわけではない。しかし、その時いた職場や選出された役職によって、必要とされた業務はできるだけ努力して実行してきた。それが連合の発展に役立ったとすれば大変幸いである。

連合30周年記念のこのような場にお呼びいただき、大変恐縮しております。これは私個人にではなく、事務局全員への労いであると感謝し心より御礼申し上げます。私は1999年夏、浜野先生、田近先生の将来合同大会を何としても継続していきたいとの熱意に触れ心を動かされました。その後様々な転換期を迎える中、連合の活動に関わる方々の、損得抜きの地球惑星科学の発展や科学の進捗対する強い願いを知りました。その願いは、学術的な事はわからない私達事務局の願いともなり頑張れる原動力となっています。
多くの皆様と出会い、多くのご指導をいただきながら、共に働き素晴らしい時間を共有できました事を心から感謝しております。自分自身の利益のためではなく、誰かのために働く―連合を通じて学んだ数々の事は、これからの私の大きな糧となっております。
皆さまの願いが叶えられますよう、連合の更なる発展を心よりお祈り申し上げます。

かつて学術会議の会員として第4部（理学）の会議に出席するようになった時、気になることがありました。物理学や化学の会員達が物理分野全体や化学分野全体を背景として広い視野から発言するのに対して、地球科学分野の会員は個別の専門分野(地震、台風、磁気嵐、などのいずれか)の代表のように見えたのです。地球科学が元を糺せばこれらの擾乱発生を予知して災害を防ぐという目的から生まれたことを反映していたのでしょう。しかしプレートテクトニックスや人工飛翔体による探査などの到来によって地球惑星科学を総合的にとらえることが必要になっていると思い、同じようにお考えの方々を支持しました。2005年に行われた日本学術会議の組織改革を契機に「日本地球惑星科学連合」が常設の組織として誕生したのは画期的な一歩であったと思います。
西田賞につきましては、文化功労者として顕彰して頂いたのを機会に、学界へのご恩返しとして寄付をさせていただいています。

　1990年に始まった合同大会が、何度もあった途絶の危機を乗り越えて、途切れることなく30年を超えて続けてこられたことは、非常に多くの皆様の努力の結果です．当初10年間での私自身の役割は、地震研で数人の仲間と考えた「偶々、複数の学会が、同じ時期、同じ場所で 大会を開催する」というアイデアを実現すべく，当時のSGEPSSの行武会長と相談しながら、関係学会の合意を得る為の手続きを進めたこと，1998年大会に向けて、河野さんに大会委員長をお願いすることで、学会主催から参加者主体の大会につなげる道筋をつけられたことぐらいですが，この経験があったからこそ、2001年以降、大学LOCに代わって、合同大会運営機構による毎年の大会開催を担うことが出来ました．この提案にも、実は阿部豊さんという指南役の存在がありました．連絡会等の関係者への交渉、大会開催の実務プランの策定など、すべて阿部さんと一緒に進めてきました。30周年にあたっては、ここにおられる皆様に加えて、阿部豊さんとも一緒にお祝いをさせていただきたいと思います．

地球惑星科学関連学会の合同大会の創成期において、多くの研究者が連絡会や合同大会実行委員会に参加され、合同大会の定着に貢献されました。今ここに改めて皆様方のご貢献に敬意を表します。

Beth Orcutt is a geomicrobiologist studying how microscopic life thrives in the deep biosphere and impacts global chemical cycles, particularly in hard-rock oceanic crust.
Orcutt served as co-chief scientist of MSP Expedition 357 to Atlantis Massif (2015) and also of JR Expedition 385T (2019). She also participated in Expeditions 327 (2010) and 336 (2011) to install subseafloor borehole observatories on the flanks of the Juan de Fuca Ridge and the Mid-Atlantic Ridge.
Orcutt is a Senior Research Scientist at the Bigelow Laboratory for Ocean Sciences in Maine, USA. Prior to this position, she did postdoctoral research at the Center for Geomicrobiology in Denmark and also at the University of Southern California. She has a PhD in Marine Science from the University of Georgia, Athens (USA)

Robert McKay is a sedimentologist and paleoclimatologist who uses drill cores and outcrop studies to understand past variations in the Antarctic Ice Sheet. He is particularly interested in ocean-sheet interactions during the geological past, in particular drivers for past retreat of marine-based ice sheets during warmer-than-present climates. He was a co-chief scientist on IODP Expedition 374 to the Ross Sea, and sailed on Expedition 318 to the Wilkes Land margin of East Antarctic, and has also participated on ANDRILL which recovered records of past AIS collapse beneath the Ross Ice Shelf.