JpGUフェロー

水谷 仁 (Hitoshi Mizutani) 先生

・受賞理由/Commendation

惑星科学,特に惑星集積過程を明らかにする実験惑星学において顕著な貢献をした功績により

for outstanding contributions to planetary science, in particular to the understanding of mechanisms of planetary accretion.

・経歴

1966年東京大学理学部助手
1971年〜79年アポロ岩石主任研究者(月岩石物性)
1971年〜73年カリフォルニア工科大学地震研究所リサーチフェロー(地球内部構造の研究)
1976年〜77年コロラド大学CIRES客員研究員(岩石・鉱物の物性,地球内部構造論,界面動電現象,月岩石等の研究)
1978年名古屋大学理学部助教授
1981年名古屋大学理学部教授
1982年〜1987年宇宙科学研究所客員教授兼任(岩石破壊と地震発生,衝突実験,惑星形成過程)
1987年〜2005年宇宙科学研究所惑星研究系教授東京大学理学部教授兼任(惑星形成・進化過程の研究)
2005年パリ大学地球惑星物理学研究所客員教授
2005年〜現在科学雑誌「ニュートン」編集長

・主要論文

  1. Mizutani, H. & Abe, K.(1972). An Earth model consistent with free oscillation and surface wave data. Phys. Earth Planet Interiors, 5, 345-356.
  2. Mizutani, H., Ishido, T., Yokokura, T., & Ohnishi, S. (1976). Electrokinetic phenomena associated with earthquakes. Geophysical Research Letters, 3(7), 365-368.
  3. Mizutani, H., Spetzler, H., Getting, I., Martin III, R.J., & Soga, N. (1977). The effect of outgassing upon the closure of cracks and the strength of lunar analogues, Proc. Lunar Sci. Conf. 8th, 1235-1248.
  4. Mizutani, H., Takagi, Y., & Kawakami, S.I. (1990). New scaling laws on impact fragmentation. Icarus, 87(2), 307-326.
  5. Mizutani, H. (1995). Lunar Interior Exploration by Japanese Lunar Penetrator Mission, LUNAR-A. J.Phys.Earth, 43, 657-670.

・主な業績 Major achievements (in Japanese)

水谷仁氏は,日本惑星科学会の設立に尽力し,会長として指導的役割を果たす一方で,岩石力学,地球内部構造,地球内部物性など幅広く固体地球物理学の発展に寄与した方である.特に実験惑星学の創成と日本の固体惑星探査の礎を築いた点で最も顕著な功績をあげられた.水谷氏は,惑星形成過程において最も重要な天体衝突の研究を世界に先駆けて行い,独自に開発した縦型衝突装置の実験成果をもとに衝突破壊に関する独自の理論を提案された.この理論は現在水谷スケーリング則と言われ,衝突破壊の標準モデルの一つとなっている.水谷氏の一連の研究は,惑星衝突の研究分野を活性化し,さらに研究の指針を提示して,現在に至る衝突研究の守備範囲の拡大と内容の精密化の原動力となった.一方,日本の固体惑星探査をペネトレーターという独創的な機器の開発により牽引し,惑星科学のあり方を惑星探査を中心とする活動へと導く礎を築かれた.

推薦者/Nominator

荒川 政彦