松本 紘 (Hiroshi Matsumoto) 先生
・受賞理由/Commendation
宇宙プラズマ物理学,特に非線形現象研究において顕著な貢献をした功績により
for outstanding contributions to space plasma physics, in particular to the understanding of non-linear phenomena.
・経歴
昭和42 年-昭和55 年科学衛星REXS 計画CIE 観測器共同研究員
昭和48 年「Theoretical studies on whistler mode wave-particleinteractions in the magnetospheric plasma」(京都大学工学博士)
昭和49 年頃よりスペース・プラズマのシミュレーション研究用粒子コードの開発研究、VLFトリガード・エミッションの非線形理論と計算機シミュレーション研究および大振幅ホイッスラー波動-粒子相互作用の研究
昭和53 年-昭和58 年マイクロ波エネルギー伝送ロケット実験MINIX 計画主任および理論計画担当。このロケット実験の結果を踏まえ、大電力マイクロ波と電離層プラズマとの非線形相互作用の研究
昭和60 年-平成20 年科学衛星GEOTAIL 計画プラズマ波動観測主任
平成4 年-平成5 年マイクロ波エネルギー伝送ロケット実験ISY-METS 計画主任
平成4 年マイクロ波駆動による無給油模型飛行機実験(MILAX)を行い、マイクロ波無線エネルギー伝送を実証。その後、マイクロ波無線伝送技術の基礎開発(高効率送受電システム、位相制御マグネトロンなど)を進めるとともに宇宙太陽発電所構想を本格的に推進し始める
平成4年以降GEOTAIL 衛星打ち上げ後、そのデータ解析と計算機シミュレーションにより、「静電孤立波」の研究、突発性電子サイクロトロン波の研究、バウショック周辺における波動-粒子相互作用の研究等を行う
平成17 年-平成19 年水星探査衛星BepiColombo MMO プラズマ波動観測主任
・主要論文
- Matsumoto, H., H. Kojima, T. Miyatake, Y. Omura, M. Okada, I. Nagano, and M. Tsutsui, Electrostatic Solitary Waves (ESW) in the Magnetotail : BEN Wave forms observed by GEOTAIL, Geophys. Res. Lett., 21, 2915-2918, 1994.
- Matsumoto, H., H. Kojima, Y. Omura, and I. Nagano, Plasma waves in Geospace: GEOTAIL Observation, “New Perspectives on the Earth’s Magnetotail” ed. By N. Nishida, D. N. Baker, and W. H. Cowley, Geophysical Monograph by the American Geophysical Union, 105, 259-319, 1998.
- Matsumoto, H., L. A. Frank, Y. Omura, H. Kojima, W. R. Paterson, M. Tsutsui, R. R. Anderson, S. Horiyama, S. Kokubun, and T. Yamamoto, Generation Mechanism of ESW based on GEOTAIL Plasma Wave Observation, Plasma Observation and Particle Simulation, Geophys. Res. Lett., 26, 421-424, 1999.
- Matsumoto, H., Research on solar power satellites and microwave power transmission in Japan, IEEE Microwave magazine, 3, 36-45, 2002.
- Shklyar, D., and H. Matsumoto, Oblique Whistler-Mode Waves in the Inhomogeneous Magnetospheric Plasma: Resonant Interactions with Energetic Charged Particles, Surv Geophys,30: 55-104, doi 10.1007/s10712-009-9061-7, 2009.
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
松本紘氏は、本学会の大きな研究分野の一つである「宇宙プラズマ物理学」を飛躍的に発展させた第一人者である.特に,宇宙プラズマ中における非線形現象の研究において,松本氏の研究は常に世界をリードし、衛星観測,理論・計算機シミュレーション,更にこれらの連携によって大きな成果をあげられ、本学会が中心となる我が国のこの分野における先進性の向上に大きく貢献された.一方,人材の育成にも熱意をもって取り組まれ,京都大学等から優秀な人材を輩出したばかりでなく,国際宇宙空間シミュレーション学校による若手研究者の育成に大きく貢献するなど,その取り組みの幅広さは例をみない.更に,松本氏は日本学術会議電波科学研究連絡委員会委員長,宇宙開発委員会特別委員など数多くの職責を担われ,学術行政においても我が国の学術振興に大変尽力される一方、国際電波科学連合(URSI)会長、地球電磁気・地球惑星圏学会長に就任されるなど,国内外において学術分野の発展に大きなリーダーシップを発揮されている.
推薦者/Nominator
羽田亨