西田 篤弘 (Atsuhiro Nishida) 先生
・受賞理由/Commendation
宇宙空間物理学,特に地球磁気圏の構造とダイナミックスについて顕著な貢献をした功績により
for outstanding contributions to space physics, in particular for the understanding of the structure and dynamics of the Earth’s magnetosphere.
・経歴
1962-1964年シカゴ大学研究員(地球物理学部)
1964-1967年東京大学理学部助手
1967-1981年東京大学宇宙航空研究所助教授
1981-1995年宇宙科学研究所教授
1981-1995年東京大学教授(併任)
1996-2000年宇宙科学研究所所長
2000-2002年日本学術振興会監事
2000年宇宙科学研究所名誉教授
2000-2005年日本学術会議会員
2004-2008年総合研究大学院大学理事
2008年-現在日本学士院会員
・主要論文
- Nishida, A., Geomagnetic Diagnosis of the Magnetosphere, Springer Verlag, 1978. (translated in Russian)
- Nishida, A., Formation of the plasmapause, or magnetospheric plasma knee, by the combined action of magnetospheric convection and plasma escape from the tail, J. Geophys. Res., 71, 5669, 1966.
- Nishida, A., Coherence of geomagnetic DP 2 fluctuations with interplanetary magnetic variations, J. Geophys. Res., 73, 5549, 1968.
- Nishida, A., Outward diffusion of energetic particles from the Jovian radiation belt, J. Geophys. Res., 81, 1771, 1976.
- Nishida, A., The Earth’s dynamic magnetotail, Space Sci. Rev., 91, 507-577, 2000.
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
西田篤弘氏は、宇宙時代の幕開けの頃から50 年以上にわたって地球惑星科学の研究領域、特に、磁気圏物理学の研究において数多くの先駆的な研究成果を上げると共に多くの後進を育ててこられた。1960-70年代、同氏は磁気圏の構造とプラズマ対流を太陽風との相互作用の視点から捉えるという磁気圏物理学の新しいパラダイム構築に貢献し、DP2の発見、プラズマポーズの形成理論、電離層からのイオン流出機構の研究など、今日に残る寄与をなした。1980-90 年代にはジオテイル衛星計画を企画・実行することによって磁気リコネクションを基軸とする磁気圏尾部構造とダイナミックスに関する理解を前進させ、特に宇宙空間プラズマのミクロな力学プロセスと巨視的現象との相互作用に関する実証的研究に先鞭をつけられた。これらの業績に対して日本学士院賞(2001年)、国際宇宙空間科学会(COSPAR)からCOSPAR 科学賞(2006年)など、国内外の多くの名誉ある賞を受賞している。
推薦者/Nominator
向井利典