中沢 弘基 (Hiromoto Nakazawa) 先生
・受賞理由/Commendation
鉄硫化物微粒子・粘土鉱物の人工合成,X線ガイドチューブの発明,生命の起源説「有機ビックバン説」発見などの顕著な功績により
for outstanding contributions including: artificial synthesis of micro particulate iron sulphide clay minerals; the invention of the X-ray guide tube; and proposing the big bang theory of organic molecules for the origin of life.
・経歴
昭和44年3月大阪大学大学院理学研究科無機および物理化学専攻博士課程修了
昭和44年4月大阪大学産業科学研究所助手
昭和45年10月科学技術庁無機材質研究所研究員
昭和49年4月科学技術庁無機材質研究所主任研究官
昭和49年10月ドイツ連邦共和国マールブルク大学客員研究員、無機材研兼務(昭和51年まで)
昭和60年4月科学技術庁無機材質研究所総合研究官
昭和61年日本結晶学会評議委員(平成9年まで)
平成4 年Applied Clay Science誌Editorial Board(平成16年まで)
平成5 年日本鉱物学会幹事(平成6年まで)
平成12年4月科学技術庁無機材質研究所特別研究官
平成13年3月科学技術庁無機材質研究所定年退官
平成13年4月東北大学大学院理学研究科教授
平成13年4月日本粘土学会会長(平成14年まで)
平成16年3月東北大学大学院理学研究科定年退職
平成16年4月(独)物質材料研究機構フェロー
平成19 年4月(独)物質材料研究機構名誉フェロー(現在に至る)
平成22 年4月東北大学大学院理学研究科客員研究員(現在に至る)
・主要論文
- Otake. T., Taniguchi T., Furukawa Y., Kawamura F., Nakazawa H. and Kakegawa T. (2011) Stability of amino acids and their oligomerization under high-pressure conditions: implications for prebiotic chemistry. Astrobiology, vol.11, DOI: 10.1089/ast.2011.0637.
- Furukawa Y., Sekine T., Oba M., Kakegawa T. and Nakazawa H. (2009) Biomolecule formation by oceanic impacts on early Earth, Nature geoscience, vol.2, 62-66.
- Lindner G.G., Nakazawa H. and Hayashi S. (1998) Hallow nanospheres, allopanes ‘All-organic’ synthesis and characterization, Microporous and Mesoporous Materials, vol. 214, 381-386.
- Hosokawa Y, Ozawa S., Nakazawa H. and Nakayama Y. (1997) X-ray guide tube and a desk-top scanning X-ray analytical microscope. X-ray Microscopy, vol. 26, 380-387.
- Nakazawa H., Osaka T, and Sakaguchi K. (1973) A new cubic iron sulphide prepared by vacuum deposition, Nature physical science, vol.242, 13-14.
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
中沢弘基氏は鉄硫化物微粒子形成と超構造の発見に代表されるように、斬新なアイディアで研究を行い、それを実験で実証してきた。無機材研ではX線や電子顕微鏡を用いた鉱物学的研究でも大きな業績を挙げておられる。それらの研究成果によりドイツの大学やNASAに招聘された。その後、X線分析顕微鏡発明や有機―粘土反応の研究においても大きな業績を上げ、日本結晶学会賞(1978年)、科学技術庁長官賞(1992年)、井上春成賞(1998年)、日本発明協会発明賞(1999年)、紫綬褒章(2000年)などを受賞された。平成13年から3年間、東北大学に着任し研究活動を行ってこられた。東北大では、生命の起源研究が主なテーマであり、有機ビックバン説の実証など各種実験を展開し、国際的に大きな反響を得た。これら一連の業績により産学官連携経団連会長賞(2006年)や瑞宝中綬章(2011年)も受賞しておられる。
推薦者/Nominator
掛川武