JpGUフェロー

鳥海 光弘 (Mitsuhiro Toriumi) 先生

・受賞理由/Commendation

岩石学および数理地球科学に対するレオロジー,非平衡・非線形科学など新しい概念の導入にかかる顕著な貢献により

For outstanding contributions to petrology and mathematical geoscience through novel concepts such as rheology, non-equilibrium and non-linear sciences

・経歴

1973年11月東京大学総合研究資料館助手
1978年7月愛媛大学理学部地球科学科助教授
1985年7月東京大学理学部地質学教室助教授
1991年8月東京大学理学部地質学教室教授
1993年4月東京大学大学院理学系研究科教授
1998年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
2008年4月独立研究法人海洋研究開発機構上席研究員

・主要論文

  1. A mechanism of shape-transformation of quartz inclusions in albite of regional metamorphic rocks. Lithos, 12, 325-333, 1979. (Toriumi, M.)
  2. Grain boundary migration in olivine at atmospheric pressure. Physics of the Earth and Planetary Interiors, 30, 26-35, 1982. (Toriumi, M.)
  3. Mechanical segregation of garnet in synmetamorphic flow of pelitic schists. Journal of Petrology, 27, 6, 1395-1408, 1986. (Toriumi, M.)
  4. The transition from brittle to ductile deformation in the Sambagawa metamorphic belt, Japan. Journal of Metamorphic Geology, 8, 457-466, 1990. (Toriumi, M.)
  5. Crack geometries and deformation by the crack-seal mechanism in the Sambagawa metamorphic belt. Tectonophysics, 245, 249-261, 1995. (Toriumi, M. and Hara, E.)

・主な業績 Major achievements (in Japanese)

既存の学問の枠にとらわれずに、数理科学的アプローチを駆使することで、様々な地球科学的問題に対して顕著な功績をあげた。変成岩岩石学に粉体力学や流体力学などの物理学的手法を持ち込み、変成帯の構造と変形組織などから応力やひずみを定量化に復元して、既存の定性的な造山運動論を近代化しようとする独創的な試みを行った。例えば、放散虫の変形を利用した応力・応力ひずみの定量的解析手法の開発、曹長石斑晶・ザクロ石集合体を用いた変成再結晶時の鉱物移動の解析、太平洋型造山帯の変成鉱物ファブリックの形成機構と応力解析などである。また、実験岩石学的手法により鉱物の塑性特性や再結晶特性を決定することで、マントルレオロジーの定量化を行ったほか、マントル鉱物に適用できる応力計や歪速度計を考案した。さらに、非平衡・非線形系科学を導入することで、岩石と流体の相互作用やクラック形成のメカニズムなどを明らかにした。

推薦者/Nominator

西山忠男