鳥羽 良明 (Yoshiaki Toba) 先生
・受賞理由/Commendation
大気−海洋間の運動量および物質交換過程の研究における先駆的かつ顕著な貢献、および衛星海上風観測技術確立への貢献による功績により
For outstanding and pioneering contribution to ocean-atmosphere momentum and material exchange processes, and to the development of satellite remote-sensing of ocean surface winds.
・経歴
1960年 4月 京都大学理学部助手
1962年 3月 理学博士(京都大学)
1963年 9月 シカゴ大学地球物理学教室リサーチ・アソシエート 兼
米国フルブライト研究員(1965年3月まで)
1965年10月 京都大学理学部助教授
1971年4月 東北大学理学部海洋物理学講座教授
1990年4月 東北大学付属図書館木田青葉分館長(併任)
1994年3月 同大学退職
1994年4月 同大学名誉教授
1995年2月 海洋科学技術センター研究顧問(2001年3月まで)
1995年4月 宇宙開発事業団首席研究員(地球観測担当)(1998年3月まで)
1998年4月 同事業団地球観測データ解析研究システム特別招聘研究員(2003年
3月まで)
2001年4月 岩手県環境保健研究センター所長(2004年3月まで)
・主要論文
- Toba, Y. (1961): Drop production by bursting of air bubbles on the sea surface Ⅲ. Study by use of a wind flume. Mem. College of Sci., Univ. of Kyoto, A29, 313-344.
- Toba, Y. (1965): On the giant sea-salt particles in the atmosphere Ⅱ. Theory of the vertical distribution in the 10-m layer over the ocean. Tellus, 17, 365-382.
- Toba, Y. (1972): Local balance in the air-sea boundary processes Ⅰ. On the growth process of wind waves. J. Oceanogr. Soc. Japan, 28, 109-120.
- Toba, Y. (1973b): Local balance in the air-sea boundary processes Ⅲ. On the spectrum of wind waves. J. Oceanogr. Soc. Japan, 29, 209-220.
- Toba, Y. (1988): Similarity laws of the wind wave and the coupling process of the air and water turbulent boundary layers. Fluid Dyn. Res. 2, 263-279.
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
風波を契機とする海面の物理過程から大規模な大気海洋相互作用、さらに、その人工衛星による観測に至る一連の分野において独創的な手法で数々の業績を挙げた。 最も著名なものは、それまで単に波動の重ね合わせとして取り扱われていた風波を、波動とシアー流と乱流との結合した非線形性の強い現象として、現象の実態を実験的に解明し、いわゆる「鳥羽の2分の3乗則」や「鳥羽スペクトル」として世界的に知られる風波の相似則を見出し、風波のパラメータ化の基礎を与えたことである。これは関連した種々の面に発展し、例えば気象庁の毎日の波浪予報にも、鳥羽博士が発見した風波の2分の3乗則や、それを基礎に博士が導いた風波の発達方程式が数年間にわたって用いられるなど多大な成果や影響を与えた。
推薦者/Nominator
日比谷 紀之