石橋 克彦 (Katsuhiko Ishibashi) 先生
・受賞理由/Commendation
地震学,とくに地震テクトニクス,歴史地震学分野における顕著な貢献と,地震関連災害の予測とその社会への発信による顕著な功績により
For outstanding contributions to seismology, in particular seismotectonics and historical seismology, and the foresight and warning of earthquake and nuclear disasters
・経歴
1973年 東京大学理学部助手(〜1977年10月)
1976年3月 理学博士(東京大学)
1977年11月 建設省建築研究所国際地震工学部応用地震学室(〜1984年4月)
1984年5月 建設省建築研究所国際地震工学部第二耐震工学室長(〜1986年4月)
1986年4月 建設省建築研究所国際地震工学部応用地震学室長(〜1996年2月)
1996年3月 神戸大学都市安全研究センター教授.大学院自然科学研究科および理学部を兼務(〜2008年3月)
2008年3月 神戸大学を定年退職(名誉教授)
2011年12月 国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員(〜2012年7月)
・主要論文
- 石橋克彦, 1977, 東海地方に予想される大地震の再検討─駿河湾地震の可能性─, 地震予知連絡会会報, 17, 129-132.
- Ishibashi K, 1981, Specification of a soon-to-occur seismic faulting in the Tokai District, Central Japan, based upon seismotectonics, Earthquake Prediction edited by David W. Simpson and Paul G. Richards, 297-332.
- 石橋克彦, 1997, 原発震災–破滅を避けるために, 科学, 67, 720-724.
- Ishibashi K., 2004, Status of historical seismology in Japan, Annals of Geophysics, 47, 339-368.
- 石橋克彦, 2009, 歴史地震史料の全文データベース化, 地震2, 61特集号, S509-S517.
・主な業績 Major achievements (in Japanese)
石橋克彦氏は,地震テクトニクス分野においては,南海トラフ沿いに将来起こる可能性がある海溝型巨大地震のうち,いわゆる「東海地震」の震源断層が,駿河湾に及んでいる可能性が高いことを地殻変動や古文書などのデータの解析からはじめて明らかにした.また,歴史地震学に於いては,「[古代・中世]地震・噴火史料データベース」を中心となってまとめあげ,古地震研究を魅力ある分野に変えるとともに,検証可能な科学へと飛躍させた.さらに,原子力災害と地震災害が複合して起きる破局的災害「原発震災」の概念を提唱し社会に警鐘を鳴らし続けた.その先見性と先導性により,地震科学の進展をリードすると共に,地震関連災害の可能性を一貫して国民の側に向け発信し,社会の中での科学者のあるべき一つの姿を実践した.
推薦者/Nominator
川勝 均