鈴木 隆介(Takasuke Suzuki)先生
・受賞理由/Commendation
岩石や岩盤の風化・侵食を中心とした研究の発展と地形学公式の提唱、地形災害検索システムの開発など、地形学全般にわたる研究およびその応用への顕著な貢献により
For outstanding contributions to geomorphology and relating geotechnical applications, especially based on researches of rock weathering and erosion processes, proposing geomorphological formula and development of referent system for predicting possible geomorphic disasters at a given site in Japan,
・経歴
1966年 – 1968年 中央大学理工学部 専任講師
1968年 – 1973年 中央大学理工学部 助教授
1973年 – 1980年 中央大学理工学部 教授
1980年 – 2007年 中央大学大学院理工学研究科 教授
※この間、以下の役職を兼務
・理工学部長(1993 – 1997)
・理事(1996 – 1999)
・選任評議員(1995 – 2003)
・副学長(2004 – 2005)
2007年 – 現在 中央大学 名誉教授
・主要論文
1) 鈴木隆介・高橋健一・砂村継夫・寺田 稔(1970):三浦半島荒崎海岸の波蝕棚にみられる洗濯板状起伏の形成について, 地理学評論 43(4) 211-222.
2) Suzuki, T., Tokunaga, E., Noda, H. and Arakawa, H. (1985): Effects of rock strength and permeability on hill morphology, Transactions, Japanese Geomorphological Union, 5(4), 311-328.
3) Suzuki, S. and Hachinohe, S. (1995): Weathering Rates of Bedrock Forming Marine Terraces in Boso Peninsula, Japan, Transactions, Japanese Geomorphological Union, 16(2), 93-113.
4) Suzuki, T., Kobayashi, Y., Hachinohe, S. (2002): Pore-Size Distribution of Rock and its Geomorphological Significance, Transactions, Japanese Geomorphological Union, 23(2), 257-286.
5) 鈴木隆介ほか(2008):特許第5080121号「地形災害検索システム、地形災害検索方法および地形災害検索プログラム」
・主な業績
鈴木隆介氏は, 地形学を飛躍的に発展させた重要人物である. 火山地形研究からスタートし, 微起伏をもつ波蝕棚における風化侵食地形, 河成段丘崖の斜面発達, 段丘構成岩盤の風化速度, 特異な地形を呈す蛇紋岩の風化速度などの多様な研究から, 地形物質の地質学的性質のみならず岩石物性の定量的把握が不可欠であることを強調した. これらの研究は, 1960年代の地形学の思想である岩石制約論(ロックコントロール)を明瞭に実証することとなり, 現在ではlandform material scienceやrock control theoryなどと呼ばれ, 応用地質学や土木工学などの隣接分野にも多大な影響を与えている. また, 1979年の地形学連合の創立時には中心的役割を果たし,主要委員を歴任の後に会長を務めるとともに, 第5回国際地形学会議の招致に尽力,大会では組織委員会委員長を務め成功に導いた.国際的には, 有力な国際学術誌Zeitschrift fȕr Geomorphologieの編集委員も務め, IAG (International Association of Geomorphogist) のHonorary senior fellowに推挙されるなど, 国内外における貢献度も高い.
・推薦者
小口 千明