JpGUフェロー

柏谷 健二(Kenji Kashiwaya)先生

・受賞理由/Commendation

地形学と第四紀学、とくに侵食地形の形成、土砂供給、湖沼における堆積という一連のプロセスと、第四紀の気候変化などの環境変動との関係を解明した貢献により

For outstanding contributions to research on geomorphic processes including lake sedimentation and environmental changes including Quaternary climatic cycles.

・経歴

1978年4月-1979年3月日本学術振興会奨励研究員
1980年4月-1981年3月日本学術振興会奨励研究員
1983年1月-1993年2月神戸大学大学院自然科学研究科助手
1993年3月-1998年4月金沢大学理学部助教授
1998年5月-2002年3月金沢大学理学部教授
2002年4月-2007年3月金沢大学自然計測応用研究センタ-教授
2004年4月-2006年3月金沢大学自然計測応用研究センタ-・センタ-長
2007年4月-2013年3月金沢大学環日本海域環境研究センタ-教授
2013年4月- 金沢大学名誉教授・研究員

・主要論文

1. Geomorphology of Lake-catchment Systems. Springer, 139p., 2017, Kashiwaya, K.
2. Present earth-surface processes and historical environmental changes inferred from lake-catchment systems. In: Kashiwaya, K. et al. (eds.) Earth Surface Processes and Environmental Changes in East Asia. Springer, Tokyo, 1-24, 2015, Kashiwaya, K. et al.
3. Onset of current Milankovitch-type climatic oscillations in Lake Baikal sediments at around 4 Ma. Earth and Planetary Science Letters, 213, 185-190, 2003, Kashiwaya, K. et al.
4. Orbit-related long-term climate cycles revealed in a 12-myr continental record from Lake Baikal. Nature, 410, 71-74, 2001, Kashiwaya, K. et al.
5. Theoretical investigation of the time variation of drainage density. Earth Surface Processes and Landforms, 12, 39-46, 1987, Kashiwaya, K.

・主な業績

1. 理論地形学・実験地形学
斜面系におけるリル網の形成過程を理論・実験・観測から明らかにし、原初的な水系網の成長を解明した。また、水系網の成長を分岐・合流過程から定式化(モデル化)し、時代の異なる地形面の資料を用いて、その妥当性を示した。

2. 陸水地形学(湖沼-流域系の地形学)
湖沼-流域系を一つのシステムとして捉え、流域の物理環境の変化と湖沼堆積物情報を組み合わせ、その関係を明らかにするとともに、観測を導入することによりプロセスと堆積物への記録過程の解明を進め、過去の堆積物記録と現在の観測記録との接続の端緒を開いた。

3. 長期水文環境変動学
琵琶湖やバイカル湖の長尺湖底堆積物試料の物理特性から、陸域の長周期水文環境変動が基本的には気候変動の天文学理論(ミランコヴィッチ理論)に対応することを明らかにし、気候変動に調和して進行することを解明した。

・推薦者

小口 高