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科学技術関連基金の研究課題決定プロセスについての要望提言

科学技術関連基金の研究課題決定プロセスについての要望提言

社団法人応用物理学会会長 東京都市大学教授 白木靖寛
社団法人日本化学会会長 日本学術会議第三部長 電気通信大学教授 岩澤康裕
社団法人日本生化学会会長 東京大学教授 北 潔
生物科学学会連合代表 (独)産業技術総合研究所 幹細胞工学研究センター長 浅島 誠
社団法人日本地球惑星科学連合会長 東京大学教授 木村 学
社団法人日本物理学会会長 日本原子力開発機構 J-PARCセンター長 永宮正治
社団法人日本薬学会会頭 東京大学教授 松木則夫

平成23年2月1日

民主党政権が若手・女性・地域の研究者への研究支援を目的として作成した、最先端・次世代研究開発支援プログラムの採択課題決定が大幅に遅れている。科学技術振興を目指す政権が、審査員、有識者の見解を軽視し、政府主導で決定を遅延させている事態は、最先端・次世代研究開発支援プログラムだけではなく、今後の日本の若手、女性、地域の研究者の研究支援体制、更には日本の科学研究の未来そのものが揺らぎかねない問題であり強く憂慮する。

科学技術研究活動に科学研究費が必須であることは言うまでもない。ゆえに各研究者は競争的資金を獲得するため真摯に研究計画調書を作成し、また審査委員においてはその内容を精査し判定している。科学研究費の内定・交付スケジュールが遅れるということは、まさに研究が止まることを意味しており、研究者生命を脅かす危機的なことである。また、研究者だけでなく研究に携わる職員、ポスドク、大学院生やその家族も甚大な被害を受ける。

生物科学学会連合、日本化学会、日本物理学会, 応用物理学会、日本地球惑星科学連合、日本生化学会、日本薬学会(会員数:約20万人)は、内閣府にあたっては以下の点に留意して我が国の科学技術関連基金の政策推進を検討されるよう要望する。

1) 科学技術関連基金の内定・交付スケジュール遅延のないようにする。
最先端・次世代研究開発支援プログラムにおいては、11月内定の予定が未だ決定されていない。研究用試薬、機器購入の予定が組めない、研究員の雇用が出来ないなど現場ではすでに混乱が広がっている。一刻も早く、遅くとも2月中には決定するよう強く要望する。また、今後このようなスケジュールの遅延が再発しないよう政策推進のあり方を再検討するよう求める。

2) 審査員、有識者の見解を重視する。
最先端・次世代研究開発支援プログラムにおいては審査委員による厳格な審査が終了しているにも関わらず、決定を大幅に遅延させている。これは、採択課題の決定において審査委員会の見解が軽視されていることを意味している。科学・技術の発展は研究者の自由な発想に基づく多様な研究の展開に依拠するものであり、この中で優れた研究を推進することこそが学術政策の基本である。そのため、一つの課題に対して複数の専門家が審査員として内容を精査し、優れた研究を選定している。内閣府は審査委員会ならびに有識者の判断、見解を重視するべきである。採択課題が国民に広く説明されるのは言うまでもない。

3) 研究課題決定プロセスによらず幅広く多様な科学研究資金を充実する。
我が国の困難な状況を乗り越えるために、科学・技術の飛躍的な進歩が社会的にも経済的にも大きく期待されているにもかかわらず、将来に対して、どのような責任ある国家戦略を描いているのか、大きな疑問を持たざるを得ない。また、科学・技術的な根拠無く研究計画をストップ・停滞させ科学技術予算の投資を怠ることは、人材育成、国際的な知の循環や知の連携、多様な価値・発想などの弱体化を招き、科学技術立国としての我が国の国家存立基盤の崩壊をもたらす遠因になる事を強く危惧する。このような状況は、研究と教育の両面を阻害し様々な負の影響を及ぼすもので看過できない。

問合せ先:
生物科学学会連合代表 浅島 誠  
m-asashima@aist.go.jp; asashi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
(独)産業技術総合研究所 幹細胞工学研究センター長、東京大学名誉教授

社団法人日本化学会会長 岩澤 康裕
iwasawa@pc.uec.ac.jp
電気通信大学教授、東京大学名誉教授

連絡先:
社団法人 日本化学会 事務局 百武 宏之、高橋 学
〒101-8307 東京都千代田区神田駿河台1-5
hyakutake@chemistry.or.jp, m-takahashi@chemistry.or.jp
Tel: 03-3292-6161 Fax: 03-3292-6318

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