JpGUフェロー

山形 俊男 (Toshio Yamagata) 先生

・受賞理由/Commendation

地球流体力学・気候力学,特に大気と海洋に生起する諸現象,相互作用に伴う気候変動現象の解明に顕著な貢献をした功績により

for outstanding contributions to geophysical fluid dynamics and climate dynamics, in particular to the understanding of atmospheric and ocean phenomena and the effect of their interaction on climate chance.

・経歴

1971年6月東京大学理学部地球物理学科卒業
1973年3月東京大学大学院理学系研究科地球物理学専攻修士課程修了
1975年3月東京大学大学院理学系研究科地球物理学専攻博士課程中途退学
1975年4月九州大学応用力学研究所助手
1977 年10 月理学博士(東京大学)
1979 年6 月九州大学応用力学研究所助教授
1981年9月〜1983年8月および
1984年7月〜1984年12月米国プリンストン大学地球流体力学プログラム客員研究員
1991 年9 月東京大学理学部地球惑星物理学科助教授
1994 年4 月東京大学大学院理学系研究科地球惑星物理学専攻/理学部地球惑星物理学科教授
1997年10月〜2003年6月国際太平洋研究センター(ホノルル)プログラムディレクター兼務
1997 年10月〜2009年3月海洋科学技術センター(現:独立行政法人海洋研究開発機構)地球フロンティア研究システム(現:地球環境フロンティア研究センター)気候変動予測プログラムディレクター兼務
2009年4月〜2012年3月(独)海洋研究開発機構アプリケーションラボラボヘッド兼務
2012年4月(独)海洋研究開発機構アプリケーションラボ所長

・主要論文

  1. Yamagata, T., 1976 : On Trajectories of Rossby Wave-packets Released in a Lateral Shear Flow. J. Oceanogr. Soc. Jpn., 32 (4), 162-168.
  2. Yamagata, T., 1982 : On Nonlinear Planetary Waves : A Class of Solutions Missed by the Traditional Quasi-Geostrophic Approximation. J. Oceanogr. Soc. Jpn., 38 (4), 236-244.
  3. Yamagata, T., 1985 : Stability of a Simple Air-Sea Coupled Model in the Tropics. Coupled Ocean-Atmosphere Models, Elsevier Oceanogr. Series, J. C. J. Nihoul ed., 637-657.
  4. Saji, N. H., B. N. Goswami, P. N. Vinayachandran, and T. Yamagata, 1999 : A Dipole Mode in the Tropical Indian Ocean. Nature, 401, 360-363.
  5. Ashok, K., S. K. Behera, S. A. Rao, H. Weng, and T. Yamagata, 2007 : El Niño Modoki and its possible teleconnection. J. Geophys. Res., 112, C11007, doi:10.1029/2006JC003798.

・主な業績 Major achievements (in Japanese)

山形氏は、非線形惑星波動や中間地衡流力学などの地球流体力学の基礎的研究から、気候変動現象のメカニズム解明と予測まで、多岐にわたる分野で多大な貢献をされた。特に、熱帯域の大気海洋結合擾乱に関する研究では、世界に先駆けてエルニーニョ現象に関連する結合擾乱の再現に成功された。また、インド洋熱帯域に固有の大気海洋結合現象である「インド洋ダイポール現象」を発見し、「エルニーニョもどき」現象の重要性を初めて明確に指摘している。これらの気候変動モードの予測研究では、世界トップクラスの予測精度を持つ大気海洋結合モデルを構築し、エルニーニョ現象の2年予測やインド洋ダイポール現象の予測も世界で初めて成功させた。さらに、黒潮蛇行などの地球流体力学的研究の発展として、実用的な日本沿海海況予測システムを構築するなど、広範な研究成果は今日の海洋学・気候学の発展に多大な影響を与え続けている。

推薦者/Nominator

升本順夫