JpGUフェロー

宮崎 毅(Tsuyoshi Miyazaki)先生

・受賞理由/Commendation

土壌物理学および環境地水学における,時空間変動する土壌中の移動現象の解明と理論化に関する顕著な功績により

For outstanding contributions to the soil physics and environmental soil hydrology, especially
transport phenomena in temporally and spatially variable soils.

・経歴

1977年4月 農林水産省四国農業試験場土地利用部研究員
1981年8月~1982年7月 米国カリフォルニア州立大学デービス校客員研究員
1984年10月 農業土木試験場水利部主任研究官
1987年12月 東京大学農学部助教授
1994年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 (改組)
1998年8月 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
2012年4月 東京大学名誉教授
2012年6月 (財)日本水土総合研究所理事長 (~2014年5月)
2010年7月~ 学術会議連携会員(18期~24期)

・主要論文

・ Nakano, M. and T. Miyazaki, 1979: The diffusion and non-equilibrium thermodynamic equations of water vapor in soils under temperature gradients. Soil Science 128(3):184-188.
・ Miyazaki, T., 1988: Water Flow in Unsaturated Soil in Layered Slopes, J. of Hydrology 102: 201-214.
・ Zhuang, J., Yan Jin, and T. Miyazaki, 2001: Estimating Water Retention Characteristic from Soil Particle-Size Distribution using a Non-Similar Media Concept, Soil Science 166(5):308-321.
・ Seki K. and T. Miyazaki, 2001: A mathematical model for biological clogging of uniform porous media, Water Resources Research, 37(12): 2995-2999.
・ Tokida,T., Miyazaki,T., Mizoguchi.M, Nagata,O, Takakai,F., Kagemoto,A., Hatano,R., 2007: Falling atmospheric pressure as a trigger for methane ebullition from peatland, Global Biogeochemical Cycles, 21, GB2003, doi:10.1029/2006GB002790

・主な業績

宮﨑毅氏は、空間的に不均一で時間的にも変動する土壌における様々な移動現象に対して現場調査・室内実験・理論化のセットで検討を進め、多くの成果を挙げてきた.主として1.土中における温度勾配下の水移動機構の解明,2.異なる土が接する成層土の層境界における浸透水流の屈折や部分流発生の理論化,3.土粒子・孔隙を相似形とした相似理論の問題点の指摘と非相似形理論による,より合理的な土の透水性・保水性予測理論の構築,4.微生物活動の水移動への影響の解明とモデル化ならびに湿地における温室効果ガス放出の時間変動機構の解明の4つである.いずれも成果発表後,10年から30年を経た今日においても息長く引用され続けている先駆的かつ本質的な成果であると同時に今後の気候変動適応研究においても重要な貢献をすることが期待されるものである.

・推薦者

溝口 勝