日本地球惑星科学連合 ニュースレター誌(JGL)連載企画
第4回 JGL Vol.13 No.4掲載
ORCIDコミュニティの拡がり
宮入暢子 (ORCID, Inc. アジア・太平洋地区ディレクター)
 生涯にわたって使い続けることのできるORCIDは,国際的なディジタル研究者識別子として,世界中で390万人*1以上に利用されています.その運営母体であるORCID, Inc.は,国際的・学際的な非営利団体として,40カ国から参加する700以上のメンバー機関*2によって支えられています.500あまりのシステムがORCIDと連携し,出版社,研究機関,助成金団体などにより運用されています.

 ORCIDと連携するシステムは,研究者の許諾を得てそのORCIDレコードにアクセスし,データの同期や自動更新が可能となります.またORCIDに記載されるデータには全て入力元が表示されるため,信頼のおける機関によるデータ更新は,ORCIDレコードの信頼性を高めます.より多くのシステムが分担してこれを実現すれば,個人およびメンバー機関のデータ管理が大いに効率化できます.国・地域レベルでのORCID導入を目指し,すでに18のコンソーシアム*3が結成されています.

 日本のORCIDメンバーは10機関を数え,日本地球惑星科学連合(JpGU)もそのひとつです.JpGUのサイエンス・コミュニケーション・ツールであるMyJpGU*4では,各会員がプロフィールを作成し,自身のORCIDをリンクして,双方のシステムの研究業績を同期することができます.そのほか日本では,物質・材料研究機構の研究者総覧システムSAMURAI*5や,科学研究費助成事業データベースKAKEN*6などにORCIDが導入されています.

 現在,日本の有志学協会により,ORCIDコンソーシアムに向けた検討*7が始まっています.日本の学協会がORCIDメンバーとなれば,学会誌や大会での発表実績,役職や委員会活動,受賞歴など,様々な活動実績を会員に代わってORCIDに入力することが可能となります.検討会では,これについてアンケート*8も実施中です.ぜひJpGU会員の皆様もご協力いただければ幸いです.

注釈
*1:2017年10月1日現在.最新情報はhttps://orcid.org/statisticsを参照のこと.
*2:2017年10月1日現在.ORCIDメンバーの一覧はhttps://orcid.org/membersを参照のこと.
*3:2017年10月1日現在.ORCIDコンソーシアムの一覧はhttps://orcid.org/consortiaを参照のこと.
*4:MyJpGU. 日本地球惑星科学連合. https://mypage.jpgu.org
*5:研究者総覧SAMURAI. 物質・材料研究機構.https://samurai.nims.go.jp/
*6:科学研究費助成事業データベースKAKEN. 国立情報学研究所. https://nrid.nii.ac.jp/ja/index/
*7:ORCID学協会コンソーシアム検討会. https://sites.google.com/view/orcid-j-society/
*8:アンケート:ORCIDについて. https://goo.gl/forms/TViqO4nyJJF0OsMl2(2017年10月20日まで回答を受付)