日本地球惑星科学連合 ニュースレター誌(JGL)連載企画
第3回 JGL Vol.13 No.3掲載
AGUジャーナルで
著者ID「ORCID」をつかおう
AGU Eos (https://eos.org)掲載記事より-
ブルックス・ハンソン(米国地球科学連合・シニアバイスプレジデント)
オープンなID(識別子)は科学の公正性,効率性,学術情報流通や情報発見,研究者支援のために大変有益なものとなりつつあります.たとえば,論文についているDOI(digital object identifier)により論文アクセスが飛躍的に容易になりました.また,新たに研究者,研究資金配分機関,標本資料などのIDについても進行中です.AGUはコミュニティでこれらの識別子を使うよう奨励,推進しており,2016年以降のすべての論文に,著者のIDであるORCID (Open Researcher and Contributor ID) を含めることとしました (https://orcid.org/content/requiring-orcid-publication-workflows-open-letter).

ORCIDにより研究者の検索や見える化は大きく改善されます.個人がORCIDの IDを取得するのは簡単で,アカウント情報の公開管理もできます.AGUのジャーナル編集システムでは論文査読者のORCIDもサポートしています.ORCIDアカウント上では自著論文のリストとともに査読・編集作業などの学術貢献を明示できるようになります.論文DOIでジャーナル間の横断検索が容易になったように,ORCIDを使えば研究者名をキーにしたさらに自由で正確な横断検索が可能になるでしょう.ORCIDアカウント上では出版者データベースと連携して,正確なあなたの出版論文リストを自動生成することも可能になります.

論文DOIのような第1世代の識別子は出版社によって完全に管理されていますが,ORCIDのような次世代の識別子はまだ研究者,学協会の協力が必要です.AGUは多様なIDの利用と利便性向上にむけて取り組んでいます.

(Hanson, B. (2016), Eos (https://eos.org), 97, doi:10.1029/2016EO043183.)
© 2016. The authors. CC BY­NC 4.0
(抄訳:情報システム委員会副委員長 村山泰啓(情報通信研究機構))