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セクションサイエンスボード −地球生命科学セクション


地球生命科学分野の現状とビジョン
「地球生命科学」は、
地球と生物について、その創成から現在に至るまで、相互に関わりながら進化・変遷してきたさまを明らかにする研究領域である。「地球生命科学」は、生物について、なぜ、地球に生命が繁栄しているのか? なぜ、地球には多様な生物がいるのか? では宇宙ではどうなのか? など、生命の起源、複雑化、多様化に関するあるいは絶滅に関する原因とプロセスのすべてを解明することをめざす。また、地層や岩石に賦存する有機物について、その生物地球化学プロセス、岩石鉱物との相互作用などを明らかにする。生物源エネルギーである石油、石炭、天然ガス、ガスハイドレートなどの成因や背景に関する研究も「地球生命科学」の守備範囲である。


「地球生命科学」は地球科学、惑星科学、生物学などの関連分野の研究の発展に伴い著しく進展した。たとえば、生命の起源や生物の初期進化の研究には、太古代地質学、地球化学、地球電磁気学、地球微生物学、掘削科学そして宇宙・惑星科学の発展が不可欠であった。有機合成化学や遺伝子組み換えなどの手法が取り入れられ、実験的に生体物質の合成と進化の問題を解くことができるようになってきたことも分野の進展を促した。また、真核生物進化の解明は、多くの分類群について全ゲノムの解析が行われたこと、代謝の分子機構が解明されたこと、そして熱水環境、地下圏生物などの極限環境に生きる共通祖先とも言える原始的な生物の発見とその適応戦略の理解が進んだことなどが重要な役割を果たした。  最近10年間に著しく研究が進んだテーマとしては、@生命に至る有機物がどのように非生物的に作られて組織化されたかについて、「地球外からの寄与」の重要性が指摘され、地球上の熱水環境における化学進化についてイオウ金属錯体を用いて酢酸塩が生成されることが検証された。A隕石・彗星有機物の分析などにより、地球外有機物と生命との関連が詳細に議論されるようになった。B極限環境生物の研究や惑星探査により、火星・エウロパ・タイタン・エンケラドスなどが生命生存可能な惑星・衛星である可能性が高まった。C地球上の生命の起源は地球表層における光合成生物ではなく、深海における化学合成生物が有力な候補となりつつある。D遺伝子の分子系統樹は、地球上の生物が真正細菌・古細菌・真核生物の3群に地球の黎明期にすでに分かれたことを示した。E生命の初期進化解明にも関わる新しい分野として地下生物圏に関する研究が進展しつつある。F地球上の生物の多様性が、固体地球を含む地球史イベントと相関していることが明らかになりつつある。G地球史を通じて離合集散を繰り返す大陸と海洋の分布、地球内部活動の活発化が地球表層部の環境に変化を与え、真核生物の絶滅と進化が起こったことが明らかにされつつある。  今後の中心的な課題は以下のようである。ア地球がいかにして生物生存に適した惑星になったのか? ということも含めて生物の初期進化を解明し、生命の起源に迫る。この先には宇宙や惑星における有機化学/生命科学研究がある。たとえば、地球外に残る原始惑星環境(小惑星・彗星・タイタンなど)から生命誕生過程の直接的な証拠を得るとともに、地球極限環境や地球外環境での新たな生物圏の検出を目指す。イ 地球生命史のすべてについてドキュメンテーションを行い、どうして地球が多様な生物に満ちた星であるのか? を明らかにする。ウ 地球と生物との元素や物質の分配を明らかにし、地球創成以来の物質循環の進化を、生物源エネルギー資源との関わりもふまえて明らかにする。





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