地学教育

「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」への意見

平成19年12月6日
 

文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室 御中

前略,貴省にて行われております"中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に対する意見募集について"に対して,意見を送らせて頂きます.  草々

                    

 

提出者 日本地球惑星科学連合
      (加盟学協会数46(加盟学協会一覧は末尾に記してあります)
  代表   木村 学 東京大学大学院理学系研究科教授 
  日本地球惑星科学連合 教育問題検討委員会  
   委員長   畠山正恒 聖光学院中学・高等学校教諭
   副委員長 根本泰雄 桜美林大学自然科学系
                      (大阪市立大学大学教育研究センター客員)准教授
   他    委員56名(末尾に具体的な氏名が閲覧可能なURLを記してあります.)
  日本地球惑星科学連合 教育問題検討委員会 教育課程小委員会     
   委員長   宮嶋 敏  埼玉県立本庄高等学校教諭 
  副委員長 瀧上 豊  関東学園大学教授     
   副委員長 山下 敏  埼玉県立深谷第一高等学校教諭
   他    委員11名(末尾に具体的な氏名が閲覧可能なURLを記してあります.)
連絡先 日本地球惑星科学連合 
   〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-16 学会センタービル4階 
   日本地球惑星科学連合事務局   
   谷上美穂子 電話 03-6914-2080 Email office@jpgu.org   

同連合教育問題検討委員会委員長
   〒231-8681 横浜市中区滝之上100番地
   聖光学院中学・高等学校理科
   畠山正恒 電話 045-621-2051 Email hatakeya@hotmail.com 

同連合教育問題検討委員会副委員長
   〒194-0294 東京都町田市常盤町3758   
   桜美林大学自然科学系 
   根本泰雄 電話 042-797-9308 Email nemoJFOberlin@ybb.ne.jp

 



意見

 日本地球惑星科学連合では、今回公表された審議のまとめに対して、
次の3項目について意見を述べさせていただきます。


(1)地球環境教育の充実について

 環境教育の重要性及び必要性について明記されたことに賛成します。
環境問題を真に理解するためには、地球を正しく理解することが必要です。
その上で、次の具体的な事柄を要望致します。
 
・幼児教育および小学校教育において、十分な自然体験がなされることが大切だと考えます。
しかし、幼児教育における自然体験の重要性が謳われていない点が遺憾に思います。
そこで、自然体験の機会を幼児教育においても積極的に設け、さらに小学校低学年での
学習においても理科的な内容 が十分に含まれるようにすることを要望します。

・地球環境教育では、理科および社会科の知識を基にして地球を総合的に考えられる力を
つけることが必要です。
そのため高等学校理科においては、物理、化学、生物、地学の4領域の学習が不可欠です。
審議のまとめでは「4領域から3領域以上を学ぶ理念は維持する」とありますが、
地球を正しく理解するためには3領域では不十分です。
よって「4領域を履修させることが望ましい」旨を高等学校学習指導要領に付記することを強く要望します。
  また、高等学校地理歴史科においては、「歴史系科目のみの履修にならないようにすることが望ましい」旨を
高等学校学習指導要領に付記することも併せて強く要望します。

・地球環境教育の内容は複数の教科・科目にまたがっていますが、
社会科(地歴科)においては地理分野、理科においては地学分野が重要な役割を担っています。
しかし、高等学校によっては、学校に地理や地学を専門とする教員がいないことも多く、
そのため各学校のカリキュラムに地理または地学が含まれていない場合もあります。
生徒に地理や地学の履修希望者がいても、教員配置を理由にこれらの科目が開講されない場合があります。
生徒の希望を重視し、地理や地学が全ての高等学校で開講できるように、専門教員の配置および養成に配慮することを要望します。


(2)小中学校での授業時数について

小中学校の総授業時数および理科の授業時数が増加することについて賛成します。


(3)理数教育の充実について

理数教育の充実にあたり、次の事項が必要・重要であると盛り込まれたことに賛成します。
 
・内容の系統性および構造化や小中高校間の学習内容の円滑な接続

・知識、技能の確実な定着のため、学年間や学校間で反復学習

・地球環境教育の推進のため、地域の特性およびその保全、環境への負荷の観点

なお、地域の特性およびその保全、環境への負荷、自然災害・防災を理解するために
必要な基礎的知識の多くは地学分野に含まれていることから、地学分野の学習を一層充実させることを要望します。
 また、理数教育の充実を実現するため、特に理科は授業において実験や実習を行なうことが極めて重要であることから、
以下の事柄に特段の配慮をお願いします。
 
・週あたりの授業時数が増えることから、教員が課業日に教材研究や授業準備をする時間を
確保できるようにすることを要望します。

・小学校高学年の理科の授業については、理科専科教員によって実施されることを基本とし、
各校1名以上の外部講師等の非常勤職員ではない理科専科教諭を配置することを要望します。
 
・高校理科「課題研究」に関しては、その目標を達成するために教員が具体的な内容を学ぶための
教員研修を充実させることが必要です。
また、課題研究の性格上、少人数クラスによる実施が不可欠となるので、少人数クラスでの授業ができる体制の構築を要望します。


 以上
 



追伸 以下に資料として日本地球惑星科学連合加盟学協会一覧等を記させて頂きます.


資料 日本地球惑星科学連合加盟学協会一覧
 (加盟学協会数46,構成会員数約52,553名)

日本宇宙生物科学会 日本応用地質学会 日本海洋学会 日本火山学会 日本活断層学会
日本気象学会 日本鉱物科学会 日本国際地図学会 日本古生物学会 日本沙漠学会 
資源地質学会 日本地震学会 日本写真測量学会 日本情報地質学会 人文地理学会 
日本水文科学会 水文・水資源学会 生態工学会 生命の起原及び進化学会 石油技術協会
日本雪氷学会 日本測地学会 大気化学研究会 日本堆積学会 日本第四紀学会 
日本地学教育学会 地学団体研究会 日本地下水学会 日本地球化学会 
地球電磁気・地球惑星圏学会 日本地形学連合 日本地質学会 日本地熱学会 地理科学学会 
日本地理学会日本地理教育学会 地理教育研究会 地理情報システム学会東京地学協会
東北地理学会 日本粘土学会  日本農業気象学会 物理探査学会 日本陸水学会 
日本リモートセンシング学会 日本惑星科学会
(以上,50音順.但し日本を除く)

日本地球惑星科学連合URL:http://www.jpgu.org/index.html

同連合教育問題検討委員会委員構成URL:http://www.jpgu.org/about/structure.html より辿れます.
 

 

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