国際地質科学連合
IUGS
(International
1 沿革と概要
1961年3月、地質科学の課題に継続的に対処するため、常設の地質科学国際学術団体として設立された。地質科学関係では、古く、1878年から万国地質学会議(International Geological Congress, IGC) が3−4年ごとに開催されていた。ところが、IGCが開催されない中間年には国際機関が存在しないことが、すでに1922年ころから問題となっていた。しかし、既存のIGCに重ねて、新たな学術団体を作ることに対する合意が得られず、設立が何度か見送られた。1960年に至り、ユネスコからの強い働きかけもあって、ようやく1961年にパリで創立総会が開かれ、ICSUの承認を得た。
2 目的
地球に関する地質科学的な問題(基礎科学的並びに応用科学的のいずれをも含む)の研究を奨励し促進すること、地球の理解に資する限りにおいて、地球外天体の研究を促進すること、国際的ならびに学際的な共同研究が必要とされる問題の研究を援助すること、地質科学に関する社会の理解を得ることに務め、広い意味での地質学の教育を促進すること、並びに人類全体がもつ諸問題の地質科学的な側面を明らかにすること。(約款第3条、2000年8月開催の第11回総会承認)
3 組織及び財政
(1) 運営組織
ア 評議会
連合の最高意志決定機関で、各会員国の加入団体の代表で構成され、通常4年ごとに万国地質学会議開催時に招集される。評議会では、事務・財政問題などを含め、連合の活動方針を審議・決定する。
イ 執行委員会
連合の重要方針などを審議し評議会に諮る。執行委員会は、会長、副会長、評議員、事務局長、財政委員長及び前会長で構成され、原則として、1年に1度開催される。最近数年は、年初1−2月に会議が開かれ、加盟国の招聘により、2003年は2月にナミビア国のウイントフック市で開催された。
(2) 主な役員
会長 Zhang Hongren(中国) 2004-2008(任期:年)
前会長 Ed de Mulder(オランダ) 2004-2008
副会長 Eldridge Moores(アメリカ 2004-2008
副会長 Sylvi Haldorsen(ノルウェー) 2004-2008
評議員 松本 良(日本) 2004-2008
評議員 Gabriele Schneider(ナミビア) 2004-2008
評議員 Alberto Riccardi(アルゼンチン) 2004-2008
評議員 Jean-Paul Cadet(フランス)
事務局長 Peter Bobrowsky(カナダ) 2004-2008
財務 Antonio Brambati (イタリア) 2004-2008
(3) 事務局
ノルウェー政府の好意により、ノルウェー国 Trondheim市にあるノルウェー地質調査所内に置かれている。
事務局長: Prof. Peter Bobrowsky(2004年8月から)
所在地 : IUGS Secretariat, c/o Geological Survey of
電 話 : +47-73-904011
F A X : +48-73-502230
URL : http://www.iugs.org
E-mail : IUGS.Secretariat@ngu.no
(4) 構成会員
国メンバー(2004年8月現在) 116
準会員(賛助団体) 5
加盟団体(共同して科学的活動を行う団体) 38
IUGSの参加国は、各国の経済力に応じて分担金を支払う、区分(カテゴリー)が設けられ、その区分にしたがって分担金を支払っている。現在1〜8のカテゴリーがあり、各カテゴリーにそれぞれ分担金単位数が設けられている。ちなみに、最高8のカテゴリー国は、日本、ロシア、アメリカの3か国で、その単位数は70となっている。2002年現在の単位あたりの分担金額は440米ドルであるから、カテゴリー8の日本は、440×70=30,800ドルの分担金を支払うことになっている。ちなみにイギリス、イタリア、ドイツ、フランス、カナダ、中国は7カテゴリー35単位で、15,400ドルを支払っている。IUGSの評議会並びにIGCの総会においては、各会員国はカテゴリーの数に比例した投票権を行使して、議決に参加することができる。
(5) 財政・予算
会員国・準会員からの分担金と、ユネスコおよびアメリカからの助成金(IGCP:国際地質対比計画に対して)でまかなわれている。2002年の予算の総額は50万3千米ドルである。
4 主な事業及び活動
(1) 評議会及び万国地質学会議(IGC)
評議会及びIGCは4年ごとに開催される。第31回万国地質学会議は、リオデジャネイロ市(ブラジル国)で、2000年8月に開催された。2004年8月にはイタリアのフィレンツエで開催された。
(2) 常置委員会(Commissions)
地質科学の特定の分野、研究方法、あるいは問題について研究する委員会で、現在、以下の7の委員会が活動している。
Commission on Geological Science for Environmental Planning
Commission on Global Sedimentary Geology
Commission on the History of Geological Sciences
Commission on Stratigraphy
Commission on Systematics in Petrology
Commission on Tectonics
Commission on Management and Application of Geoscience Information
(3) タスク・グループ(ワーキンググループを改称)
短期または臨時の課題の解決策を策定するグループである。現在、以下の4つが活動している。
Task Group on Fossil Fuels
Task Group on Global Geochemical Baselines
Task Group on Public Affairs
Task Group on Geochronological
Decay Constants
(4) イニシアチーブ
将来の研究の端緒となる研究グループ。
(5) ジョイント・プログラム
他の学術団体と共同して科学的事業を行う。現在4件活動中。
International Geoscience Programme (IGCP)
Scientific Committee on the Lithosphere
Mineral Resouce Sustatinability Programme
Geological Applications of Remote Sensing
(6) 諮問委員会 (Advisory Board)
執行委員会に助言するために設けられた委員会で、特定の委任事項について任務を遂行する。現在、研究開発諮問委員会(Advisory Board for Research Development)、出版諮問委員会 (Advisory Board for Publications)、及び財政諮問委員会 (Advsory Board for Finances)が活動している。
5 最近の動き
(1) 会議等の開催状況
第11回執行委員会が2003年2月にナミビア国ウインドホック市で開かれ、本年度の活動方針および2002年度決算および2003年度予算が審議された。活動方針として重要な件は、次回2004年開催の第32回IGC(フィレンツェ)、国際地球惑星年(IYPE)の企画、IUGSとIGCの統合、などであった。役員として副会長の佐藤 正が出席した。
(2) 事業及び活動の実施状況
上記 (1)で、最近の状況を合わせて記述した。なお、活動の詳細は、「出版物」の項の "執行委員会議事録" として、毎年出版され公表されている。IUGSの科学的な事業はCommissionsなどにより行われている(後述)が、とくにユネスコとの共同で行われている国際地球科学プログラム(IGCP)は開始以来これまでに490件におよぶ研究計画を支援してきた。
(3) 将来予定
地質科学連合第12回評議会及び第32回万国地質学会議は、イタリアのフィレンツェ市で、2004年8月20日—28日に開催される予定である。会議の主なテーマは「地質科学、自然災害および文化遺産−地中海地域から発信する地質学のルネサンス−」で、天然資源をより多く提供することを大きな目的にして来た従来の地質科学から脱却し、自然災害の軽減、自然環境の保全、文化遺産の保護など、今後地質科学は人類社会にどう貢献すべきか「地質学のルネサンス」と位置づけて、議論が進められることになっている。
第12回評議会は、この機会に同市で開催される予定である。日本も加盟国として代表8名を送る必要がある。
執行委員会は2004年2月にオスロ市で、また8月にはIGCを機会にイタリア・ボローニア市およびフィレンツェ市で開催された。役員として副会長の佐藤 正が出席。
6 日本学術会議との関係
(1) 国内対応委員会名称 地質学研究連絡委員会
(2) 経緯等(加入年)
わが国は、国際地質科学連合の創設期からその活動を支え、ほぼ継続的に副会長を送って来ている。連合のもっとも活発な研究活動の一つで、ユネスコからの財政支援をうけている「国際地質対比計画:IGCP」は、学術会議においては、副会長世話担当の「国際学術協力事業研究連絡委員会」のもとに「IGCP専門委員会」が設けられ、国際対応が図られている。
(3) 日本人役員
わが国は、国際地質科学連合へ、創設期から多くの副会長を送って来た。列記すると、創設期には、第6・7期学術会議会員の小林貞一氏、ついで久野 久氏(1968−1972年;68−69年日本地質学会長)、立見辰雄氏(1976−1984年)、第15・16期会員の上田誠也氏(1989−1997年)、第14−16期地質学研究連絡委員会委員長の佐藤 正氏(2000−2004年)と続き、19期松本 良氏が評議員となった。
(4) 日本の分担金
31,460米ドル(2003年)
(5) 日本における会議開催の実績及び予定
わが国は、1992年8月、第29回万国地質学会議を京都に招致し、全世界から5,000名を越す地球科学者が参加して、当該学問分野の学術交流に大きく貢献することができた。
次回第32回の万国地質学会議は、2004年にイタリアで開催が予定されており、さらに2008年には、ノルウェーが開催国に名乗りを上げている。したがって、近未来における日本開催は検討されていない。その他の会議の開催も予定されていない。
7 出版物
(1) 定期刊行物
機関誌としてEpisodesというジャーナルを年4回発行している。学術論文、当該学問分野のレビュー論文、開発途上国に向けた技術の紹介、新刊案内、国際会議のカレンダー、国際地質科学連合活動の報告などが掲載されている。個人講読が可能である。
2002年から、毎年Annual Reportsの発行を始めた。ここでは、当該年(前年)の活動状況が簡潔に記載されている。加盟国や加盟団体に配布される。またWebsiteには随時活動状況を紹介した速報が掲載されている。
(2) モノグラフ
Commissionが組織したシンポジウムで発表された論文を編集したもので、これまで36編が出版されている。購読可能である。また2000年には国際層序対比表(International Correlation Chart)がユネスコと共同で出版された。
(3) 執行委員会議事録
毎年1月に開催される執行委員会の議事録が「International Union of Geological Sciences, Executive Committee Meeting, Minutes」の名の出版物として、ノルウェーの事務局から出版されている。内容は、各常置委員会及び36にのぼる加盟団体 (Affiliated Organizations) の当該年度の活動報告、次回万国地質学会議の組織委員会からの準備状況の報告などが含まれている。
8 参考文献
「国際地質科学連合活動要覧」、第3版が "国外調査−資料127”として、日本学術会議から1995年6月に出版されている。またIUGSのWeb siteが公開されており、最新のニュース、会議予定、委員会での審議内容などに接することができる(www.iugs.org)。また2002年からE-Bulletinと称する電子的な速報がウエブサイトに載せられるようになった。