環境地質学専門委員会参考資料
初等・中等教育における地質環境教育の充実 −持続可能な社会に向けて−
地質科学総合研究連絡委員会
環境地質学専門委員会
わが国では,毎年のように,豪雨,地震,火山噴火,地すべりといった地質災害が発生し,多くの人命,財産を奪ってきた.一方,人間の活動は,資源の開発,構造物の建設,廃棄物の処分といった形で地質環境に大きな影響をあたえてきた.こうした人と地質環境との相互作用は人類の活動場の拡大に伴ってますます大きくなりつつある.また,人類が作り出すインパクトは空間的スケールだけでなく,時間的スケールにおいても大きくなっていることから,自然環境の保全や災害を地質的時間スケールで考えることがますます重要になっている.従って,国民が地質環境からわが身の安全を確保し,また,地質環境に重大な影響を与えることなく持続可能な社会を確立するためには,国民が地質環境自体を肌感覚で,しかも科学的に理解して見につけられる状況を構築することが必須となっている.そして,そのためには,国民すべてが等しく受ける初等・中等教育において地質環境の教育を充実することが不可欠である.
しかしながら,現実を見るに,初等・中等教育現場の教員の努力や学協会の様々な支援の取り組みがあるものの,その教育実態ははなはだおぼつかない状況にある.上記の背景と地学教育の現状についての分析に基づくと,以下の点について,広く関係学協会,博物館,教育機関に理解と協力を求めることが必要であるとの認識に至った.
情報の発信と集約
>> 地質環境に関連する学協会や博物館は,初等・中等教育への教育機会の提供など,様々な取り組みを始めているが,現在のところ,まだまだ教育現場の数に比べて十分とはいえない.今後,その充実をはかるとともに,情報を発信していただきたい.
>> 学協会や博物館から発信される教育活動案内を一覧化し,教育現場に直接届くシステムの構築が必要である.
>> この情報の発信と集約は,単に地質環境にとどまらず,生物環境なども含めて,自然環境の教育全般のものとしてまとまっていくことが望ましい.
教材の開発と提供
>> 学協会や博物館は,教材用ビデオや実験器具を,使う側の立場に立った姿勢で開発提供することに協力をいただきたい.たとえば,様々な地質現象のビデオ映像,地層の立体的理解のための教材や,地層の形成プロセス理解のための教材など.
子供達の自然観察機会の拡充
>> 教育委員会など,教育の指導的立場にある組織は,子供達の自然観察機会拡充のために,教育時間を確保するとともに,バスなどの交通手段確保のためのとりくみに協力いただきたい.
>> 地域ごとに地質環境を観察できる場を教育現場で活用できるよう,場所の整備と情報発信を行うことが必要である.
>> 学協会や教育委員会などは,子供達が日常的に触れることのできる数多くの場所に,地質説明パネルなどを整備して,理解を促進することにご協力いただきたい.
教員の養成と適切な配置
>> 現在は,教員養成の教育プログラムに地質環境を教育する場が極めて少ないので,教員が子供に自然環境の観察を教えるにも限度がある.教員養成大学などでの教員の養成の充実が必要である.
>> 現在,特に初等教育では理科以外を専門とする教員が理科を教育する場合が非常に多いが,子供達の興味を正しく導くためには,地質環境を含めた自然環境教育の専任教員を配置することが必要である.
大学教員の初等・中等教育への積極的な参加
>> 実際に高度の研究に関わっている大学教員が子供に与える影響は大きいので,大学教員の積極的な参加は非常に効果的である.
参考資料:
全国科学博物館リスト
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学校科目「地学」関連学会連絡協議会における教育活動(地学教育学会ホームページから,地学団体研究会,日本火山学会,日本岩石鉱物鉱床学会,日本古生物学会,日本測地学会,日本地学教育学会,日本地球化学会,日本地震学会,日本天文学会)
芝川明義(2004):第4回こどものためのジオカーニバル報告.日本地質学会News,7,18-19.
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日本岩石鉱物鉱床学会 地学教育・一般普及教育委員会(2003):理科教育と総合的な学習時間に関するアンケート分析結果の概要及び提言
ピプキン,B.W.,トレント,D.D.著(佐藤正,千木良雅弘監修)(2003):環境と地質.古今書院.
地質学会,火山学会,地震学会,地すべり学会,地学教育学会,産総研,地団研の地学教育へのとりくみ状況
第13回環境地質学シンポジウムプログラム(日本地質学会環境地質研究委員会主催)