声明文
2006
年11月22日
日本岩石鉱物鉱床学会
日本鉱物学会
日本地球化学会
宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ」は、地球から約3億km離れた小惑星イトカワに到着し、小惑星近傍からの観測により大きな科学的成果を挙げたほか、小惑星への着陸・離陸に成功しました。日本岩石鉱物鉱床学会、日本鉱物学会および日本地球化学会は、この世界で初めての画期的な成果に対して心より祝意を表明するとともに、宇宙航空研究開発機構と「はやぶさ」チームに敬意を表するものであります。
このたびの探査により、小惑星イトカワは多くの巨礫が散乱した岩石質で極めて多様な地形を持つ大変興味深い小惑星であることが判明し、我々のこれまで持っていた小惑星に対する知見を一新する一方で、その表面の高分解能画像からは、この小惑星がまさしく地球に落下する隕石の故郷であることを確信させるものでありました。日本岩石鉱物鉱床学会、日本鉱物学会および日本地球化学会は、地球をはじめとする惑星構成物質を主たる研究の対象としていますが、回収サンプルの初期分析チーム(HASPET)にはこれら3学会の会員も少なからず参加しております。回収サンプルが無事地球に帰還した暁には、隕石が本当に小惑星に由来するのかという長年の疑問が解けるだけでなく、小惑星表面と宇宙環境との相互作用が具体的に明らかとなり、さらにはイトカワ表層にふりそそいだ宇宙塵から有機物を含む太陽系誕生当時の最も始原的な物質が発見される可能性を抱かせます。「はやぶさ」による小惑星のその場観測とサンプルリターンによる研究が、惑星科学研究にブレークスルーをもたらし、新しい時代の幕開けとなることは間違いありません。サンプル回収の不確定性や機体のトラブルにより地球への帰還予定が2010年まで延期されるなど、サンプル分析に関しての現状は予断を許さない状況にありますが、学会としてはサンプルの地球帰還を前提に、粛々とサンプル分析の準備をしたいと考えております。
今回のハヤブサ探査機のイトカワへの着陸・離陸の成功とサンプル回収の試みにより、いわゆる「はやぶさ方式」が小惑星サンプル回収方法として優れた方法であることが示されたわけですが、この「はやぶさ方式」での次期サンプルリターンミッション(はやぶさ後継機ミッション)がJAXAにおいて検討されているときいております。一方、アメリカNASAのDiscovery計画のひとつとしてORISIS計画が提案され、最近3つの最終候補のひとつとして採択されたという報道がなされました。この計画は「はやぶさ」と同様、地球近傍小惑星からのサンプルリターンを目的とする探査計画であり、計画採択の動機には「はやぶさ」の成功があったことは想像にかたくありません。固体惑星探査におけるサンプルリターンという分野での国際競争の中で、我が国は現在世界の最先端にいることは間違いないと思われますが、このアドバンテージを最大限活かしてできるだけ早い時期に小惑星サンプルリターンミッションが今一度おこなわれることを、強く希望するところです。はやぶさ後継機ミッションへの着手が遅れて OSIRIS ミッションに先んじられることは何としても回避されるべきであり、また同時に、はやぶさ後継機ミッションにより、小惑星サンプルリターン技術を日本において確立し、さらには小惑星試料を実験室内で再び手にする機会が実現することを強く希望します。