日本地球惑星科学連合「将来構想委員会」中間答申

 

平成19年10月23日

委員長 松浦 充宏

I. 発足の経緯

 

日本学術会議の抜本的な組織改革に伴って,群雄割拠状態にあった地球惑星科学関連の学協会は,大同団結せざるを得ない状況となった。そこで,凡そ十年に及ぶ合同大会(地球惑星科学関連学会合同大会)開催の実績を背景に,関連学協会を束ねる組織として発足したのが,日本地球惑星科学連合である。従って,現在の連合は,定期大会(日本地球惑星科学連合大会)を通じて関連分野間の研究情報の交換を促進すること及び国や社会に対する情報流通の窓口的役割を果たすことを目的としている。

 今や50近い学協会の加盟により日本の地球惑星科学を代表する組織となった連合は,国・社会レベルにおいても正式に認知される必要がある。そのために避けて通れないのが,平成20年度に施行される新しい法律の下での法人化である。法人化に際しては,法人の目的,組織形態及び活動を明確に定めなくてはならない。このことは,必然的に窓口組織としての連合から活動主体としての連合への転換を意味するので,連合の将来構想抜きに法人化を考えることはできない。

 本委員会の使命は,運営会議議長の諮問により法人化後の連合の在り方を検討し,その実現に向けた基本計画案を答申することにある

 

構成メンバー

松浦充宏(委員長),大谷栄治(副委員長),濱野洋三(副委員長),田近英一(幹事),中村正人,石井守,本蔵義守,丸山茂徳,中島映至,岡部篤行,北里洋,末広潔,

谷上美穂子(オブザーバー)

 

検討事項

1.組織の強化:1)法人化後の形態,2)財政基盤の確立,3)事務局の強化

2.基本理念の明確化と具体化:1)理念/目的の再設定,2)学問分野と組織の構造化,3)地球教育の在り方とアウトリーチ,4)国/社会への提言と情報発信

3.事業の拡大:1)連合大会の継続と発展,2)国際会議の支援,3)出版事業

4.国際連携の推進:1)国際学協会への対応,2)海外連合学会との連携

5.その他

 

委員会の開催

第1回:平成19  8  2日(15時—18時)東京大学理学部1号館710号室

第2回:平成19  917日(14時—17時)東京大学理学部1号館747号室

第3回:平成191020日(14時—18時)東京大学理学部1号館747号室

 

II. 法人化後の連合の在り方

 

法人化後の連合の在り方を検討するに当たって,連合の発展が加盟学協会の活性化を促し,我が国の地球惑星科学が将来的には世界の中の一つの基軸となり得るような組織・体制の確立を基本方針とした。また,地球惑星科学の重要性と有用性を社会に認知させるためには,地球惑星科学分野全体の結束が不可欠であり,各学協会の独自の活動に加え,連合を中心とした分野全体の活動を強化する方向で検討を行った。連合の在り方に関する以下の提言は,「全体の発展なしに部分の発展はなく,部分の活性化なしに全体の活性化はない」という基本認識の下に検討されたアクションプランの中間報告である。

 

0.      連合の目的

連合は,我が国の地球惑星科学コミュニティーを代表し,国際連携,社会への情報発信,関連分野の研究活動と情報交換の促進等を通じて,地球惑星科学の振興と普及に寄与することを目的とする。

 

1.      組織の強化

日本の地球惑星科学を代表する組織として,国内外において正式に認知される必要がある。そのため,平成20年12月1日に一般社団法人の申請と同時に,公益社団法人の申請も行う。

 法人化後の連合の組織形態は,概略図1に示すようなものが望ましい。つまり,法人の運営は理事会,議決は社員総会とする。社員は個人社員と団体社員で構成し,団体社員は各加盟学協会とする。また,個人登録会員制とセクション制を導入し,各セクションに登録した会員の中から個人社員を選出する。個人社員の中から選出された理事が理事会を構成し,互選により理事長を選出する。理事会は各種委員会及び学協会長会議を組織する。理事は基本方針及び対外的問題に関して学協会長会議に諮問する。

 

2.      基本理念の明確化と具体化

法人化後の連合は,窓口組織から活動主体へ転換する必要がある。そのために,学問分野と組織の構造化を行う。具体的には,地球惑星科学全体を学問的視点から以下の5つのセクションに分け,組織上及び運営上の機能を持たせる。

 

宇宙惑星科学,大気海洋科学,地球環境科学,固体地球科学,地球生命科学

 

個人登録会員は,登録時に最も関連するセクションを選択し,セクションごとに個人社員及びセクション会長(プレジデント)を選出する。各セクションのプレジデントは,各種委員会を組織し,大会セッション構成,セッション学術誌の出版,各種候補者の選出等,運営面での実務を行う。各セクションは,必要に応じてサブセクションを設け,内部構造を高度化する。

 

3.      事業の拡大

各学協会の独自活動としての秋季大会と分野全体の活動としての春季連合大会を両輪として,地球惑星科学の活性化を推進する必要がある。連合大会を発展させるためには,セクション制を導入し,連合大会への参加学協会の拡大を図る。また,セクションを横断するフォーカスグループを立ち上げ,ユニオンセッションの充実を図る。国際セッションの充実は,世界の中の一つの基軸となるためにも,積極的に推進する必要がある。

 学術誌の刊行を含む出版事業の展開は,将来の大きな問題として取り組む必要がある。社会への情報発信という面からみても,欧文学術誌の刊行は,公益法人化に際してクリアしなければならない差し迫った問題である。連合大会国際セッション等の発表論文を対象にした電子レタージャーナルの刊行等は,実現性が高く,早急に検討すべきであろう。

 

4.引き続き検討すべき事項

  1)財政基盤の確立(河野学術会議会員による調査結果の説明を受けて検討中)

  2)事務局の強化(財政基盤の確立と連動した問題として検討中)

  3)小中高地球教育の在り方とアウトリーチ

  4)国/社会への提言と情報発信(学術会議との連携強化を検討中)

  5)連合情報システムの強化と活用