• Facebook
  • Twitter
  • RSS
文字サイズ

第25回IUGG学術総会の報告


0. はじめに

1. 総会全体について

2. IUGG評議員会など

3. ユニオンシンポジウムU02(災害)

4. 津波シンポジウム

5. IACS(雪氷)

6. IAG(測地)

7. IAGA(地球電磁気)

8. IAHS(陸水)

9. IAMAS(気象)

10.IAPSO(海洋)

11.IASPEI(地震)

12.IAVCEI(火山)


 

1.総会全体について

 

 国際測地学・地球物理学連合(IUGG)の第25回学術総会が,2011年6月27日~7月8日の日程で,オーストラリアのメルボルンで開催された。IUGG総会は4年に一度開催されており,前回の2007年はイタリアのペルージャで開催されている。今回はオーストラリアとニュージーランドの合同実行委員会が世話をした。南半球での開催は,1979年のオーストラリアのキャンベラに続いて2回目,欧米以外での開催は,2003年の札幌以来の3回目である(ちなみに第1回は1922年にローマで開催)。
 今回の全体テーマは“Earth on the Edge: Science for a Sustainable Planet”であった。IUGG傘下のIACS(雪氷),IAG(測地),IAGA(地球電磁気),IAHS(陸水),IAMAS(気象),IAPSO(海洋),IASPEI(地震),IAVCEI(火山)の8国際協会(Association)が中心となって,協会独自のシンポジウムや,複数の協会による合同シンポジウムなどを多数企画したほか,IUGGのユニオンシンポジウムや講演も準備された。6月上旬に始まった南米チリのプジェウエ火山の噴火による航空交通の混乱で,参加を断念させられた人が少なからずあったのが残念であるが,実行委員会の発表では,91ヵ国から約3,607名が参加し,4,757件の発表(口頭2,831件,ポスター1,926件)があった。日本からの参加者は,オーストラリアとアメリカについで3番目に多い,582名であった。
 6月28日午後に開かれた開会式(●写真1)では,ICSU副会長の黒田玲子(東京大学)が来賓として挨拶し,ICSUとIUGGが連携して地球環境問題に取り組むべきであることを強調した。
 Union lectureは6月30日,7月3日,7月5日の午前の後半に開催され,それぞれ3講演があった。この時間帯は他のセッションとの重複がなく,多くの参加者が出席できるように配慮されていた。ただし,通常のセッションでは同一の協会でも聞きたいセッションが複数同時に進行するなど,いつもながらの苦情が出ていたが,これは会期を短縮する限りはある程度やむを得ないことであろう。
 プログラム作成の最終段階であった3月11日に発生した東日本大震災を受けて,急遽強化された災害に関するユニオンシンポジウムには多くの参加者があった。日本からは,佐竹健治(東京大学),今村文彦(東北大学),入倉孝次郎(元京都大学),竹内邦良(ICHARM)が講演し,活発な議論が行われた。また東日本大震災に加えて,ニュージーランドやハイチの地震災害や,アイスランドとチリの火山噴火による航空機への火山灰災害を受けて,自然災害や原子力施設設置に関する地震・火山の複数のセッションにおいて,多くの研究者が参加し活発な意見交換を行ったのが今度の総会の特徴であった。
 総会に合わせて,ロシアなど数ヵ国から,各国のIUGG関連の活動を記したNational Reportが提出された。日本からも,IUGG国内委員会(日本学術会議の地球惑星科学委員会IUGG分科会)が作成したReportを提出した。近いうちに,IUGGのウェブサイト(http://www.iugg.org/members/nationalreports/index.php)に掲載される予定である。
  会議が開催されたメルボルン・コンベンション展示センターは,メルボルン市の南部を流れるヤラ川の南岸に新しくできたウォーターフロントにある(●写真2)。ここは2009年にできたばかりで,コンベンション施設,展示場とヒルトンホテルを併設した施設である。会期中は展示場ではモーターショーが行われていた。会場の近くには20分程度で通える距離にレストランや宿泊施設が集中しており便利な場所である。コンベンションセンターは,3層建てのモダンな建物で,3層が吹き抜けになっている(●写真3)。1階では,ポスター発表が行われたほか,展示ブースやインターネットスペースが置かれた。5,000人が収容できるPlenary Hallは三つに仕切られ,開会式や閉会式のほか,複数協会による合同シンポジウムが開催された。2,3階にある大小様々な大きさの講演会場でのシンポジウムでは,ガラガラであったり,狭すぎて壁際に立ち見が出たり,入りきれない会場があったりアンバランスが見られた。講演申込数と人気のあるセッションとが一致しなかったために生じたものと思われるがやむを得ないだろう。また,ポスターセッションが行われた場所は,1階フロアーの広大さに比べて異常に狭い範囲に限られており,屏風状の折りたたみのポスター・ボードが使われたため,内側で,隣り合った一方が議論している間は,反対側のポスターが隠れて議論できなくなるなど,参加者が十分な議論を行えなかった(●写真4)。
 今回の会議の登録料は日本円で9万円近く,ホテルの宿泊費も朝食付きで1万5千円以上と大変高いために,日本からの参加者だけでなく多くの国の参加者から不満が出ていた。主催者によると様々な機能を持つ新コンベンションセンターを丸抱えで借り切ったために起こったことであるが,それでも,会期をこれまでの2週間から10日間に短縮し経費的にも縮小できたとしている。ただし,オーストラリアドルが,最近の経済危機以降,他の通貨に比べて強くなったことがもう一つの高くなった理由である。無料の500 mlのペットボトルの水が最初の数日は会場のあちこちに並べられていたが,すぐに消費してしまったためか,後半では紙コップで汲む貯水タンクに入れ替っていた。
 そのほか,配布されたProgram Handbookが(上質紙で立派であるが)とても重いとか,USBに納められたアブストラクト集が機能的でない,などの不満があったが,全体として総会は極めてスムーズに進められた。前回2007年のイタリア・ペルージャでの総会に比べて格段の差を感じた参加者も多かったようである。
 次回の第26回総会は,4年後の2015年の6月~7月(予定)にチェコのプラハで開催される。
<文責:今脇資郎(海洋研究開発機構)・中田節也(東京大学)> 

写真1

 ●写真1 開会式

 

写真2

 ●写真2 会場全体

 

写真3
 ●写真3 会場入口

 

写真4

 ●写真4 ポスター発表(提供:坂本天)

 


[略号一覧 ]
CAST: Chinese Association of Science and Technology(中国科学技術協会)
CSIRO: Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation(オーストラリア)
ENHANS: Project on Extreme Natural Hazard and Sustainability (in IUGG)
GeoRisk: Union Commission on Geophysical Risk and Sustainability (in IUGG)
GFZ: GeoForschungsZentrum; German Research Centre for Geosciences(ドイツ地球科学研究センター)
GOCE: Gravity field and Ocean Circulation Explorer
GPS: Global Positioning System
GRACE: Gravity Recovery And Climate Experiment
IACS: International Association of Cryospheric Sciences (in IUGG)
IAG: International Association of Geodesy (in IUGG)
IAGA: International Association of Geomagnetism and Aeronomy (in IUGG)
IAHS: International Association of Hydrological Sciences (in IUGG)
IAMAS: International Association of Meteorology and Atmospheric Sciences (in IUGG)
IAPSO: International Association for the Physical Sciences of the Oceans (in IUGG)
IASC: International Arctic Science Committee (in ICSU)
IASPEI: International Association of Seismology and Physics of the Earth's Interior (in IUGG)
IAU: International Astronomical Union (in ICSU)
IAVCEI: International Association of Volcanology and Chemistry of the Earth's Interior (in IUGG)
ICHARM: International Centre for Water Hazard and Risk Management
ICSU: International Council for Science
IOC: Intergovernmental Oceanographic Commission (in UNESCO)
IRDR: Integrated Research on Disaster Risk (in ICSU)
IUGG: International Union of Geodesy and Geophysics (in ICSU)
IUGS: International Union of Geological Sciences (in ICSU)
NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration(アメリカ)
SAR: Synthetic Aperture Rader
SCAR: Scientific Committee on Antarctic Research (in ICSU)
SCOR: Scientific Committee on Oceanic Research (in ICSU)
SEDI: Union Commission on Studies of Earth's Deep Interior (in IUGG)
UNESCO: United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
UNISDR: United Nations International Strategy for Disaster Reduction
WCRP: World Climate Research Programme