ユニオンセッション 東日本大震災、今、地球惑星科学のありかたを考える



2011年5月25日(水) 幕張メッセ国際会議場国際会議室




プログラム


座長:永原 裕子 (日本学術会議地球惑星科学委員会、東京大学地球惑星科学専攻)
田近 英一 (日本地球惑星科学連合広報普及委員長、東京大学新領域創成研究科)

14:15 - 15:00島崎 邦彦 (東京大学名誉教授)
「日本海溝津波地震の予測は、なぜ防災に結びつかなかったか?」
地震調査研究推進本部地震調査委員会は2002年7月31日、日本海溝に沿う幅100km弱の帯で、明治三陸津波地震と同規模の津波地震が発生するという予測を公表した。このような地震が発生すれば、宮城、福島、茨城などの沿岸各地でも津波遡上高が10mを超えると考えられるが、一般防災はもとより、原発でも、この予測結果は活かされることがなかった。それはなぜなのか考えたい。
15:00 - 15:45住 明正 (東大サステナビリティ学連携機構)
「科学、あるいは、科学者の社会に対する役割」
現在の社会においては、科学・技術に関する知見が、現実社会の中に組み込まれている。社会に共有され、利用される知識を提供しているということである。また、その知識は、現実での結果を受けて、発展させてゆかねばならない。したがって、科学を担うということは、同時に、社会システムの一員となることと同値である。その立場からの振る舞いが求められるであろう。
15:45 - 16:30松浦 充宏 (統計数理研究所)
「地震学が越えなければならない壁:"想定外"の超巨大地震」
日本の地震学は世界のトップレベルにある。それにも拘わらず、今回の超巨大地震の発生を予想できなかった。このことは、日本のみならず、世界の地震学が壁に突き当たっていることを意味している。博物学として始まった地震学が様々な学問分野を取り込みながら発展してきた歴史を概観し、地震学が今越えなければならない壁について論ずる。


座長:平 朝彦 (日本学術会議地球惑星科学委員会委員長、海洋開発研究機構)
木村 学 (日本地球惑星科学連合委員長、東京大学地球惑星科学専攻)

16:30 - 17:15中島 映至 (東京大学大気海洋研究所)
「東日本大震災に伴う福島第一原発事故によって発生した環境問題と科学者の役割」
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波は、われわれの環境に深い爪痕を残した。ここではその中から、福島第一原子 力発電所事故によって発生した環境問題を取り上げ、大気海洋・環境科学の立場からの科学的諸課題の分析と、科学者の取るべき行動について論ずる。
17:15 - 18:00高橋 真理子 (朝日新聞)
「大震災と科学者」
阪神大震災のとき、批判の矢面に立たされたのは地震学者だった。今回は、原子力工学者である。政府もまたさまざまな批判にさらされている。しかし、政府批判の中には、専門知を持つ専門家にこそ向けられるべきものが混じっている。仮に専門知が政府に届いていないとすれば、届くようにするのも専門家の責任ではないのか。あるいは政府の目の届かないところがあれば、住民のために汗をかく仕事を買って出るのが専門家ではないのか。
18:00 - 18:30全体討論