日本地球惑星科学連合将来構想委員会「第2次中間答申」についての質疑応答*


* 2008314日に行われた公開討論会及び連合拡大評議会における議論の概要

 

財政基盤について

 

 

1.    法人化後の連合の財政基盤についてどのように考えているか?

 

 第3回委員会(10/20)に河野長学術会議会員を招いて ,米国の大規模学協会の実状調査結の報告を聞いた結果,各学会とも基本的に出版と研究集会で大きな収入を得ており,会費収入は数%以下であることが分かった .(たとえば米国地球物理学連合(AGU)の場合,全収入に占める出版事業と研究集会の収入はそれぞれ60%15%であり ,会費収入はわずか2%に過ぎない)

 すなわち,会費で収入を確保することは現実的ではない.また,高い金額を設定することは,会員にとっては既存の学協会と連合に対して二重・三重に高い会費を支払うことを意味し,会員にとっても既存の学協会にとっても不利益が生じる可能性がある.そこで,個人会費はあくまでも形式的なものとし ,ニュースレター等の情報提供を中心とした直接的なサービスに必要な実費程度(たとえば年間1000円程度)にすべきであると判断する.

 出版事業によって収入を得ることは,検討課題であるが,国際競争の激しい現状では,それが簡単に収入につながることは考えられない.

 したがって,今後の財政基盤は,これまで通り連合大会開催による収入とし,大会参加者を増やして収益を増やす努力が必要不可欠である.加盟学協会には連合大会への参加者を増やすための協力をこれまで以上に求めたい .とりわけ,連合大会に完全に参加しないまでも,春季大会を連合大会と同じ時期に同じ場所で開催する可能性について,ぜひ前向きに検討していただきたい.

 連合大会の拡大は,連合の財政基盤を支えることになるだけでなく ,日本の地球惑星科学と地球惑星科学コミュニティの活性化と発展につながるものあるという理解を共有していただきたい.

 

 

2. 加盟学協会に負担金(入会金・会費)が要求されることはないのか?

 

 団体会員には負担金を求めない方針である.現在の連合の財政規模は年間6000万円程度であるが,仮に加盟学協会から年間10万円を集めたとしても,得られる収入はその一割にも満たない.一方,年間10万円という金額を負担できない学協会がたくさん存在することを承知している.

 したがって,仮に加盟学協会に財政的な負担を求めるとしても,それは連合の財政を支える目的ではなく,各加盟学協会に連合に加盟しているという認識を喚起するための,あくまでも形式的なものとすべきである .その金額は,これまでの経緯や議論からして,ごく小額(たとえば年間1万円程度)に留めることになるであろう.

 個人会員に対しても,前述のように,会費金額は情報提供などのサービスに関わる実費程度の小額(たとえば年間1000円程度)に留め ,各学協会の会費との二重支払いになるという負担感が生じないように配慮するつもりである.

 

 

3. 財政を支える金額にはならない小額であっても,各学協会からの負担金を何年も積み立てていけば,将来的には大きな金額となるのではないか? たとえば,年間10万円の負担金を50学協会から集めれば,10年後には5000万円にもなる.

 

 もしそのような金額を全加盟学協会からいただけるならば喜んで受け入れるが,連合設立時の議論を考えると,それはまったく現実的ではないと認識している.

 

 

4. 当学会としては10万円はとても支出できない状況である/ 連合立上げ時に ,財政的負担はないということで始まったことを忘れないでほしい.

 

  連合は,そのような個々の学協会の財政事情や加盟経緯を十分理解しており,だからこそ加盟学協会への財政的負担は求めないことにしている .連合大会そのものを拡大し活性化させることが,コミュニティ全体の発展につながり,しかも連合の財政基盤を安定化させる唯一の方向性だと考えている.

  したがって,各加盟学協会は ,財政的な負担を負わない代わりに,会員を一人でも多く連合大会に参加させる努力を行うことが責務であると理解していただきたい.

  もっとも推奨される方法は,秋季大会は各加盟学協会が個別に開催するが,春は連合大会に学協会として全面的に参加していただくということである.いきなりそれが難しい場合には,「春季大会を連合大会と同じ時期に同じ場所で開催」していただくというやり方も考えられる.ぜひ検討していただきたい.

 

 

5. 公益法人を目指すのであれば,財政が安定していることが必要で,その財政基盤は会費収入とするのが一般的 ある.大会収入に基づく不安定な財政計画が法人化審査の際に問題とならないのか?

 

公益性を認定されるために,大会収入が主要な財源であることが問題となり得るか,顧問弁護士に調べてもらうことにする.

 

 

6. 財政面における責任の所在はどうなるのか?たとえば財政破綻した際に理事の責任はどうなるのか?

 

過去の事例も含め,顧問弁護士に検討していただくことにする.

 

 

 

■ 加盟資格について

 

 

7.連合への加盟資格についてはどうなっているか?

 

 定款(第28条 社員総会が別に定める基準により ,理事会が入会可否を決める)で規定しているが,具体的にどのように運用するかは今後の検討事項である.

 

 

8.    人文地理学会は,連合に全面的には参加できないが,そのような学会も受け入れられるものにしてほしい.

 

 連合設立の背景には,日本学術会議の改組がある.学術会議の改組の結果,人文地理学分野の会員は第3部理学・工学部会地球惑星科学委員会のメンバーになっている.日本地球惑星科学連合も人文地理学を含んだ文理融合組織になることを期待している.(日本学術会議地球惑星科学委員会入倉委員長)

 

 連合としては,人文系の学会も,全ての会員が地球惑星科学研究者ではない学会も,それぞれの個別事情を理解し,受け入れる方針は変わらない.

 

 

 

■ セクション制・代議員選出について

 

 

9.    複数のセクションにまたがる学会は ,会員が分散されるので,代議員の選出において不利益を被る恐れがある.代議員の選出方法に工夫(立候補制,複数票導入など)が必要と思われる.

 

  会員が登録を行う「登録区分」は,関心のある区分をいくつでも選択できるが,代議員の投票は主たる登録区分に限ることにしている.しかし,代議員選出の具体的な方法の骨格はこれから作っていくので ,配慮していきたい.

 

 

10.セクション間の壁が高い場合は ,学術活動に支障が生じる恐れもある.

 

 分野横断的もしくは新しい領域は,セクションとは別にフォーカスグループを設ける方針なので心配ない.

 

 

 

■ 社員総会について

 

 

11. 総会は ,団体会員と個人会員とを並列におくのではなく,二院制を取り入れてもよいのではないか.

 

  法人に関する法律によって二院制を採用することはできない.

 

 

12. 総会における団体社員と個人社員の割合はどのように考えているか.

 

団体社員1に対して個人社員2程度の割合が妥当ではないかと考えているが,ご意見をいただきたい.

 

 

 

■ 事業について

 

 

13. 地域に根ざした活動を行っている学会も加盟している.連合大会の会場を固定せずに全国規模で展開できないか?

 

  4000人以上の参加者の受け皿となり得る会場は少なく ,準備や運営まで考えると,毎年異なった会場を確保することは難しい.AGUなど大きな研究集会でも会場を固定している.連合大会といったら千葉幕張で行うというイメージが定着するのがよいと考えている .ただし,現在よりも参加者が大幅に増えた場合には,幕張での開催は難しいので,さらに大きな別の会場を探す必要がある.

  一方,通常の学会では秋季大会は,毎年地方を回ることが一般的ではないかと思われる.したがって,むしろ春は連合大会,秋は各学協会の秋季大会,という方向でお考えいただけるのがよいと考える.

 

 

14. 国際戦略についてどのような方針をもっているか?

 

  米国,欧州に次ぎ,アジアが世界の第3極になることは必然である.日本がその中核を担うことは重要な課題であると考えている.そのためにいま動かなければ,数年以内に中国かインドがアジアの中核を担うことになるのは火を見るよりも明らかである.したがって,連合大会の国際化を押し進めることは避けて通れない.(ただし,これは連合大会の全面的な国際化を意味するものではない)

  その具体的な方針のひとつとして,日本のプレゼンス向上のため,AOGS2010年大会を日本地球惑星科学連合が共同開催することについて,すでに評議会で承認された .当面,共同開催実現のため準備を開始する.

 

 

15. ジャーナルについてはどのような方針をもっているか?

 

  学術誌の刊行を含む出版事業の展開は,将来の大きな課題として取り組む必要がある.日本から世界への情報発信という面からみても,欧文学術誌の刊行は差し迫った問題である .簡単にはできない事業なので,まずは実現可能なところから始めたい .既存の学術誌(とくに複数学会が共同発行している雑誌)をベースに,連合大会の国際セッションの内容を集めるなど,速報性の高さをアピールしていくことが現実的ではないかと考えている.

 

 

 

■ 定款における社員の権利と義務について

 

 

16. 加盟学協会の権利と義務を明文化すべきではないか?

 

 団体社員(=加盟学協会)の権利は,社員総会における議決権をもつことである .義務としては,財政負担は負わない代わりに,数多くの会員を連合大会に参加させることである.明文化については検討をする.

 

 

17. 個人会員の義務としては,たとえば日本学術会議で決めた「科学者の行動規範」のような倫理規定が考えられるのではないか.ただし,義務を設けるのであれば,それに違反した場合の罰則規定も設ける必要があるのではないか.

 

 検討する.

 

 

18. 連合大会での発表は会員である必要があるが,共著者はその必要はないのではないか?

 

  会員でない場合には参加費を高く設定するなどが考えられるが,どうするのがよいか検討する.

 

 

19. 学会事務センター破綻の経験から,赤字転落時,社員は法律的にどのような責任が及ぶか?また,理事の責任についても明確にしてほしい.

 

  赤字転落時の社員及び理事の責任範囲については ,法律的な問題なので,顧問弁護士に確認する.

 

 

20. 定款の改定は大変なので,将来にわたって使える内容にすべきである.

 

  そのような定款を作成する努力をする.

 

 

 

■ 募集意見の回答について

 

 

21. 意見書に対する回答はあるか.また,回答は公開するか?

 

 運営会議で検討し,回答を行う予定である.また,連合のホームページ上での公開を考えているが,その際,個人からの意見は匿名とし ,学協会からの意見は名称を公開することにする.

 

 

 

以上